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石坂洋次郎  「美しい暦」 (新潮文庫)

石坂洋次郎  「美しい暦」 (新潮文庫)
この小説、最初はごつごつしていて、石坂が無理に頭を絞ってうんうんとうなりながら書いているように思える。昭和15年の作品。検閲監視が厳しい折、そこをくぐりぬけるための手立てが窮屈にさせているのかもしれない。ところが後半になると石坂節が絶好調となり筆が踊るごとくの調子になる。特に運動会での相川の様子が断然光る。相川の人物造りが実に鮮やか。
 石坂が武井に託して大家の小説を非難しているところが印象に残る。
「日本の作家の恋愛小説を読むと、いろいろ教養のあるむずかしそうなことを恋人達に語らせていても、それが頭を釘抜きかなにかでギュっと挟んで無理に絞り出したような感じで、キイキイ声で物を言っている。ちっとも身についていない。痩せている。」
 漱石、鴎外、井上靖、石川達三、三島、遠藤周作、大江健三郎、彼らを読むと石坂に拍手を送りたくなる。

| 古本読書日記 | 15:38 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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