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吉行淳之介  「焔の中」 (中公文庫)

吉行淳之介  「焔の中」 (中公文庫)
昭和二十年八月十五日。それまでは、どうやって死ぬか、遠からず死ぬことが決まっているから、そればかりを考えている。でもその後は、この廃墟の中で、どうやって生きていくかを考えねばならなくなった。
 「永遠の0」も「帰らざる夏」もピュアで真っ正直な人間をとりあげ、結果戦争の悲劇を際立たせようとしていた。しかし、何冊かの戦争体験を最近読むと、それほど皆がピュアでなく、というより日々の生活を成立させることに精一杯、そのためにピュアな精神なんてことを言っていられない、そんなことがこの作品でよくわかる。
 それにしても吉行のこの小説での姿はとても、二十歳近辺の青年のように感じられない。
老成している。戦争終了直前でもすきでもない女を毎日抱いていて、8月15日も、その翌日も好きでもない女を抱いていた変わらない日々がそこにはあった。

| 古本読書日記 | 08:32 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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