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「私という名の変奏曲」連城三紀彦

読了しました。
美容整形が出てくる作品と言えば、貫井さんの新月譚とか、百田さんのモンスターとかがありますね。ニューヨークに凄腕の整形外科医が~という設定は、カズオ・イシグロさんの夜想曲集に入っていた短編を思い出させる。
今後もこんな風に過去の作品を復刊してくれると嬉しいですね。
短編の方が好きなんですけど、長編ミステリーも出たら買うと思います。

「語りと騙り」だの「傑作」だの帯にあるミステリーです。
最初のうちは仕掛けを予想して(過去に読んだことのあるトリックをあれこれ思い出し、傍点つきの部分ではいくつか仮説をたて……)いたんですが、いつの間にか先へ先へと読む気持ちばかりになりました。
結果として、「こういうことなのか!」と素直に納得・満足できました。
「途中でオチがわかってしまった」「どこかで見たことのあるトリック」なんて経験はあまりないし、そういうあらさがしの姿勢で読まない方が、推理小説はたぶん楽しい。
というか、私は読みながらあまり推理しません。「読者に挑戦する」と途中で書いてある本も読んだことがありますが、フツーに負けました。

あとがきには、「冷静に考えてみれば少々無理のあるトリックなのだが、作者の美文によるメランコリックな雰囲気に酔わされ、瑣末なことは気にならなくなる」みたいなことが書いてありました。
もちろん、筋は通っています。合理的に事件の裏が説明されます。ただ、運が良くなければこの犯行計画は成功しないでしょう。
うまい具合に「彼」とか「誰か」とか三人称を使って混乱させてくれます。
終盤で共犯者で明かされる人間が、前半部分で矛盾した(=地の文で嘘をつく)感情を抱いていないかと確認したら、うまい具合にはぐらかされていました。
このあたりは、無理のある犯行計画であることがうまく作用しているかもしれない。共犯者が成功を確信しているようだったら、陥れようとしている人間に対して完璧な演技ができたら、地の文はうそになってしまう。

ちなみに、終わり方も秀逸です。

by はなゆめねえや
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