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「あひるの靴」 水上勉  

水上勉  「あひるの靴」 (集英社文庫)
アンデルセンはオーデンセという町で、極貧の子供時代を送った。靴修理職人の父が亡くなり、母は洗濯女をしてアンデルセンを養う。とても洗濯女の収入では養えきれない。物乞いをして歩く。人々の施しでやっと生きてゆく。
 水上勉は、若狭の辺境の小さな町で子供時代をおくる。63戸が固まる集落である。最も山にちかい奥深いところにあるみすぼらしい家。そこは集落でただ一軒電気がきていなかった。
 アンデルセンは孤独だった。貧乏人のなかでの更なる貧乏人は貧乏人にさえ蔑まされる対象だった。友達などできようもなかった。だから、木や草や花や動物、蟻を親しい友とした。普通は美しいとか汚いで終わるそうした物や動物とアンデルセンは会話をした。孤独で哀しく苦しいことが、そうすることで肩の力を抜け、それらを心のなぐさみものとして文字にできた。
 アンデルセンも水上も子供時代に貧しい故郷を捨てた。そしてほとんど故郷には帰らなかった。流浪と窮乏と闘いながら、最後は功なりとげた。ところが、そんな晩年になっても、物想いのほとんどは人の蔑まれ、孤独に追いやられた悲しい出来事ばかりだった。全く水上とアンデルセンの2人が一人の人間となって重なり合う。
  
by はなゆめ爺や

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