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 「ミステリーの系譜」  松本清張

松本清張 「ミステリーの系譜」(中公文庫)
昭和13年、岡山津山地方、まわりから隔絶された村で30人を殺害2人を傷つけるという悲惨な事件が起きた。殺害事件としては史上最悪な事件だった。日本犯罪史には記録されていない。
 この作品を読むと3つのことが想い浮かぶ。
昔から夜這いという風習はこういった隔絶された村では楽しみの一つとして厳然としてあった。肉体関係を恋愛感情から切り離して制限なく行う風習である。で、これが崩れたとき、つまり女性が恋愛感情や倫理感が肉体関係の前提になるという姿をとりもどしたとき。
それについていけない男は、村で孤立をする。村には逃げ場がない。
  結果自殺を決意する。そのときの心理。自分に恨みをいだき、いまのような苦しい状態に追い込んだすべての人たちを道ずれにしようと。
 更に昭和13年は日華事変の年。新聞は日本兵が中国人を殺害したことを正義の行為として連日報道する。恨みが正義にかわり人を殺害する行為が正当化される。この事件は戦争の影が強く反映している。

by はなゆめ爺や

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