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 「黒地の絵」 松本清張

松本清張 「黒地の絵」(新潮文庫)
中編集。収録されたどの作品も秀作ぞろい。すべて既読作品。
是非このなかで読んで欲しい作品は本のタイトルにもなっている「黒地の絵」。
ジブリの「風立ちぬ」は観ていないから軽々に批評はできないが、なぜかあまり好きになれない作品の予感がする。
戦争。未経験ゆえにどれを読んでもリアリティを感じない。今映画になっている「永遠にの0」や、妹尾河童の「少年H」もそんな作品。戦争の悲惨さ、平和の尊さが全面にデフォルメされすぎている。それがかえってあざとく、戦争表現そのものが大袈裟なわりに戦争の真実が伝わってこない
 清張のこの作品、第2次大戦の余韻が残り、朝鮮戦争最中、アメリカが北朝鮮中国軍に押され敗走をしているときの九州のある町でのことが描かれている。
 朝鮮に行けば真っ先に殺戮される前線においやられる黒人兵300人がMPのゆるんだ規律のなか、集団脱走をする。黒人兵の目的は異様。あたりかまわず女性を見つけてレイプすること。その逃走した黒人の捕獲に、MPはあまり熱心でない。町は同報無線で戸締まりをして外へはでないよう注意を促すが警察も全く動かない。
 進駐軍は、黒人兵が何をするかわかっていながら脱走させ好きほうだいさせてから捕獲にはいる。黒人は戦死する確率が最も高いから、どうでもしろやというわけ。
妻を目の前で犯された主人公の復讐にいたるまでの執念を読んでほしい。
清張は少しも戦争とはなんて大上段にふりかぶってはいない。でも「永遠の0」「少年H」
より戦争の本質、むごたらしさを強烈に読者に植え付ける。素晴らしい作品である。
タイトルも作品を言い当てたこれ以上ないタイトルである。

by はなゆめ爺や

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