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白石一文    「我が産声を聞きに」(講談社文庫)

 主人公は、徳山名香子47歳。英語教室の非常勤講師をしながら、個人レッスンもしている。夫の良治は54歳で電機メーカーのエンジニア。一人娘の真理絵は大学生で家をでていて、独り住まいをしている。

 良治は会社で画期的な技術を開発、それを背景に会社から大きなお金を得る。そして、それを使って都内に一戸建ての住居を建て夫婦はそこに住んでいる。

 ある日、良治が名香子を車で連れ出す。向かった先はガンセンター。そこで良治は肺がんと診断される。しかし、早期発見だったため、手術をすれば治癒できるとの診断を受ける。

 病院からの帰り、2人は中華料理店で食事をする。そこで良治が突然名香子に好きな人がいて、これから彼女のところに行き、もう家にはもどらない。離婚したいと言う。

 コロナ下という特殊な状況。そして、良治や名香子の恋愛、その時の相手の去就などいろんなことが物語では描写される。円満に見えた夫婦。どうして良治は別れを切り出したかが物語のポイントとなる。

 いろんなことがあるが、矮小化して白石さんからみれば出来の悪い読者になる私。成程と思ったことを記す。

 家に迷い込んだまだ小さな白猫。病気も動物病院で治し、当初は警戒して懐かなかったが、10日もすると家族皆に懐く。特に名香子には懐き、夜白猫(ミーコという名)は名香子の腕の中で眠る。

 そのミーコが、名香子が出張で不在な時、家を飛び出し失踪する。良治が探したのだが見つからず、そのことを名香子に電話で連絡する。名香子を一晩中かけても探しなさいと指示。

 彼女が帰宅してもミーコは戻らず、これはあなたの責任と良治を責める。しかし、名香子は一回怒っただけで、後は何も言わなかった。

 このことを見ていた娘の真理恵がお父さんが家を出た原因について名香子に言う。
「おとうさんは、おかあさんにベタボレだったよ。でも、ミーコがいなくなってからの一年間おかあさんは本当に冷たかったよ。お父さんはとんでもないことをしてしまったと、本当に責任を感じていたよ。でも、おかあさんは、お父さんを許していない気がする。」
「ミーコがいなくなったのは、お父さんの不手際が原因。責任はお父さんにあるでしょ。でも私はこの3年間そんなことはいわなかったでしょ。」

「おかあさん。おかあさんにかかると、いつだっておかあさんが正しい人になっちゃうんだ。
もう許してあげると一言お父さんに言ってあげて。そうでなきゃ、肺がんのおとうさんは可哀そうすぎる。」

 良治が出て行った先は、高校の同級生だった香月雛の家。しかし雛は良治を愛していないし、結婚もする気はない。雛は画家で、頭を金色に染め、とんでもない恰好をしていた。そして、良治も頭を金色に染め同じ格好をしていた。二人は信州の友人が所有している別荘に去った。男が離婚をきりだす。そこに別の女性の影はない。だって、妻なる女性はいつでも絶対正しい存在だから。

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| 古本読書日記 | 05:46 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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