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倉知淳   「過ぎ行く風はみどり色」(東京創元社)

 長編ミステリー。単行本1ページ2段組み、細かい字で327ページもある。

冒頭、ややこしいが、登場人物を紹介する。これがないと物語がわからなくなるので。
不動産業と投資で大きなお金を稼いだ方城兵馬。事業を廃業して、世田谷の邸宅に離れを造り生活している。長男の直嗣は40歳を超えて独身。画商をしている。長女の多喜枝は勝行を養子でもらう。夫の勝行は会社員。この子供に長男の成一がいて、兵馬は成一に事業を継がしたかったが、成一は拒否して光学機械メーカーに勤める。さらに多喜枝夫妻には、成一の下に娘美亜が高校生でいる。

 兵馬にはもう一人次女の娘がいたが、交通事故にあい、夫とともに亡くなる。この夫妻に娘左枝子がいる。

 離れに住む、兵馬に霊媒師穴山慈雲斎が取り入り、家に悪霊がとりついているのでこの悪霊を追い払わねばいけない、ついては、自分が取り払ってあげる、更に兵馬の亡くなった妻を降霊させることもしてあげると言う。

 一方、霊媒師はインチキということで、勝行は大学の心理学助手の神代と大内山を招き、兵馬に反対する。

 こんな中で兵馬が何者かに殺される。更に、穴山が、兵馬の依頼により執り行われた降霊会の最中にナイフで刺され殺される。
 この2つの殺人事件の真相解明に、成一の大学先輩、当時何で生計を立てているか不明な猫丸が挑む。

 物語の鍵になるのが、両親を交通事故で亡くし、自らも体が不自由になった左枝子。このため外出はせず、家に閉じこもって暮らしている。

 この左枝子の行動や振る舞いを作者倉知がふんだんに叙述トリックを使い描写する。手足は不自由だが、手すりを使って階段を上り下りをするし、庭にでてベンチに腰掛け過ごすことを楽しむ場面もよく登場する。

 この左枝子が実は全盲であることを、猫丸が指摘。そのことが事件の解明につながる。
左枝子の普段の生活の描写からはとても全盲とは思えないように倉知は描くが、懸命に全盲であることを避けた表現を使って、読者を惑わす。

 叙述トリックに関心のある人にはお勧めの作品である。

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| 古本読書日記 | 06:16 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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