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アンソロジー  「ANNIVERSARY 50」(光文社)

 カッパ・ノベルスが発刊されてから50年を記念して、日本を代表するミステリー作家9人が執筆した作品を収録した作品集。

 さすがに一流ミステリー作家、しかも彼らを育てあげたカッパ・ノベルス記念の作品集ゆえに、どの作家も力が入り、名作ばかりで読み応え十分。

 その中で、これミステリー?と思える作品があった。島田荘司の「進々堂世界一周シェフィールド イギリス」だ。しかし、この作品は圧巻の感動作品だった。

 私事で恐縮なのだが、初めて生まれた娘が重大な障害を持って生まれた。生まれて、即心臓の手術をした。これが成功しても、その障害で1年生きることができるのは10%と担当の先生から絶望的なことを言われた。しかし、娘は900Gを切る体重だったが、頑張って生き抜いた。その後通った施設の熱心な先生の懸命な支援により、食事も細かく砕くと口から飲み込むし、少しの時間なら座っていることもできるようになった。

 私は地方の中核都市にある企業で働いていた。娘が小学校に入る年齢になった。それで特別支援学校に面接に行った。すると面接してくれた校長が、「この娘は入学不可能。この学校は学び、訓練すれば、社会にでられる可能性がある子だけが通える学校。見込みのない子は、定期的に先生が自宅を訪問し、様子を見る子となる。」

 ショックを人生の中で一番受けた瞬間だった。

ところが、中核市から少し離れた、地方小都市で、新しい支援学校が新設されるとの情報を得て、その学校の面接に行った。

 すると校長先生が娘をだきあげ、「可愛いいい子だ」と優しく言ってくれ、「誰でも光る子なんだ」と言って、入学を受け入れてくれた。しかし、入学条件がその小都市か、周りの市の住民でなければ受け入れできない。もう迷うことなくその小都市に引っ越しマイホームも建てた。

 収録作品の解説に移る。

主人公の御手洗は集団で食事のため店にやってきた。みんながてんでバラバラに注文をしだした。すると、店員が混乱して困ったような表情になった。それで御手洗が、一人、一人確認して、店員に注文を告げてあげた。店に行った客が「どうしてあんなことをしてあげたのか」聞いた。すると御手洗が「あの店員は障害を持っている人だ。順番にゆっくり注文を言ってあげないとパニックになってしまうからだ。」そして、同じ経験をしばらく前まで滞在していたイギリスのシェフィールドで体験したと言ってその経験を話だす。

 夜、御手洗がコリンという人を見つける。コリンは、夜中町を回って、食料品店にお願いして収集している。それが、障碍者施設の食べ物になる。

 それから、御手洗はコリンと話し出す。
コリンにはギャリーという一人息子がいた。小学校からテストの答案用紙を持ち帰ってくる。全科目零点。用紙には名前が書いてあるだけ。その名前も枠からはみ出している。学校からの連絡がある。どうもギャリーは目が見えないようだと。全く気が付かなかった。眼科医にゆき特別なメガネを作ってもらい少し見えるようになった。ところがある日、レンズにひびが入って帰ってきた。ギャリーは間違っておとしてしまったというが、それはあり得なかった。

 コリンとギャリーがバスに乗る。その中に集団で子供が乗ってくる。最後に乗ってきた子が集団の生徒のバッグを全部持たされている。その子の腕やひじには赤い痣がたくさんあった。調べると同じ痣は息子ギャリーにもあった。

 家の近くにスポーツジムがあった。ギャリーは小太りで力持ちだった。そこでジムに入って重量挙げをやってみたらと思いジムに申し込むが障碍者は無理とジムから拒否される。父親がついて全責任を持つという条件で、入会を何とか認めてもらう。

 コリンは重量挙げのトレーニング方法を色んな手段を使って収集し、ギャリーに教え込んだ。

 そしてギャリーはシェフィールドのメイフェア地区の小学生部門で優勝する。といっても大会にでたのはギャリーも含め3人だけ。残りの2人も、コリンが学校に頼み込んで参加してもらった。コリンは「よく頑張った。優勝までしたのだから重量挙げはもうやめよう。」
とギャリーに言うが、ギャリーは「続ける」と言う。生まれて初めてギャリーが意志を示した瞬間だった。

 そしてギャリーはシェフィールドの大会でも優勝する。この先は全国大会。そこで優勝すればオリンピックにも出場できる。シェフィールドでは、300ポンドを成功。あと50ポンドを上乗せできれば、イギリス大会でも優勝できる。

 コリンは、英国の有名コーチにギャリーの指導を頼み込む。しかし、コーチは拒否する。
もし重量を上げられなくて、バーベルが落ちると、死ぬ事故になる。だから指導は不可能と。
今まで事故が無かったのは幸運が重なっただけ。とどう頼んでもコーチは首を縦にふらない。

 その時、大地震が発生。コーチはガレージの駐車場の下敷きになる。ギャリーがガレージのシャッターを下から持ち上げて、コーチを救い出す。

 そして、その後コーチはギャリーのコーチとなる。

御手洗が言う。
 「さっきの食堂の店員も、全力でぶつかれるものを見つけてくれたらいいな。」と。

私の障害娘。一歳の時、医者にもう生きてゆくことは難しいと言われ、10歳のとき、20歳のとき医者から死を覚悟しておくようにと言われた。
 で、今40歳を迎え、みんなに支えられ元気に毎日施設に通っている。

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| 古本読書日記 | 06:07 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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