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大山淳子   「あずかりやさん 満天の星」(ポプラ文庫)

 大好評の「あずかりやさん」シリーズ第5弾。4作品が収録されている。

あずかりやとは、全盲の主人公桐島がやっている店。何でも一日100円預かってあげる。料金は前払いで、決められた期日に取りにあらわれない場合は、桐島が自由に処分できる。

 真夜中、20歳の男が誰もいない商店街を歩いていた。男はひたすら怒っていた。

男ははっきりとわからないが5歳位のとき、小学校の門のところに捨てられていた。自分の名前も、両親の名前も、住んでいたところもわからない。それで医者に診てもらい5歳くらいと判断された。男には手の甲に金魚の彫り物がなされていた。持ち物は、これで世の中をわたっていけと父親から持たされたのか万能ナイフがあった。

 その金魚の彫り物のため、全ての人から敬遠され、施設に収容されたが、一人も話をしてくれる人はいなかった。

 18歳で施設をでて、流浪していた。そして、今夜完全に行き詰まり、誰でもいいからナイフで人を殺そうと思っていた。

 そんなとき、商店街のある店にたどり着く。もちろん灯りはなく真っ暗。しかし、玄関の引き戸をひくとがらがらと開く。店に入ると誰もいない。レジがあったので、開ける。やけに100円玉が多いレジ。札束と百円玉を別々にポケットにいれ、ナイフを構えて、あたりを見回す。

 すると全盲の男が現れる。男はナイフの持つ手に力をいれる。そして、何の店なのか聞く。
男が答える。何でも一日百円で預かる店ですと答える。

 男は言う。今はなにを預かっている?高価なものはあるか。と。この間預かったのがタバコ2箱。何でそんなもの預けるんだ。わけは聞きません。どんなものでも大切に預かります。
 店主は奥に行き、ハーブティーを作って持ってきてくれる。

男は生まれてこのかたこんなに他人と会話したことはなかった。暖かい雰囲気にいざなわれて、辛い過去を思わず店主に話す。

 すると店主は、奥から古いオルゴールを持ち出してくる。
「このオルゴール、50年の契約で預かっていますが、預けた方はすでに亡くなっています。このオルゴールと家にあるお金全部さしあげましょう。オルゴールはタワーマンション一戸買えます。」

 男はオルゴールを鳴らす。優しい音色で思わず笑う。
店主は言う。
「このオルゴールは、金持ちの人でも、貧乏な人でも、差別せず同じ音色をかなでます。

男はレジから奪った金を返し、何も取らずに店をでてゆく。
それから、男は工務店で働くようになる。

ある日、川に落ちてしまった少年を川に飛び込み救ってあげる。少年は助かったが、男は沈んだまま浮かんではこなかった。

 ありがちな物語だが、「あずかりや」を経由すると、色彩が鮮やかになる。収録されている「金魚」より。

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| 古本読書日記 | 05:59 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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