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千野隆司    「おれは一万石」(双葉文庫)

 本を読まなくなった人が増えて、出版界は大変な苦境に陥っているといわれて久しいが、最近本当に本は売れてないのかと疑問になることが時々ある。確かに、芥川賞や直木賞を獲得した一流作家の作品はなかなか販売数を伸ばす壁にぶつかっている感は否めないが、ちょっと肩の力をぬいて幅広くみてみると、一流文学から外れていて、文学的レベルには低いらしいが、とにかく面白いという本がたくさん出版されていて、そんな本が圧倒的多数の読者を掴んで爆発的に売れている。しかし、こんな本が話題になることはあまりない。

 紹介した作品もその一つで、ドラマ化もされているし、読者に支持されて、シリーズ作品となって、すでに、28作目が発売を待っている状態。

 これから、このシリーズを読み紹介してゆくが、その前提として、物語の構造を理解しておかねばならない。

 主人公は竹腰正起。美濃3万石今津藩藩主だった竹腰勝起を父に持つ17歳。

 正起は、高岡藩の娘京に婿入りして、井上正起となり、やがて藩主になることが決定している

 高岡藩は、一万国の弱小藩。天明の凶作もあり、財政が破綻寸前。もし、一石でも減封されると藩は解体されるギリギリの状態にある。 

物語は、正起が、財政を立て直すために、次々襲い掛かってくる難題に立ち向かい、打ち勝ってゆく姿を描く。 正起と、策謀集団の戦いが興奮するほど面白い。正起の性格が楽しい。思い込んだら、もう一切振り返ることなく猪突猛進。

 やがて大名になる人間が活躍する。こんな設定は殆どない。ドラマでわずか「暴れん坊将軍」でみられる。作者千野の着想力に脱帽。

 江戸時代の物流の主要手段は船輸送。

 この作品で嵐の中、2000本の杭を船で運ぶ場面がある。大揺れの船を船頭が懸命に漕ぐ。この場面の描写が圧巻。作者千野は船頭の経験があるのではと思われるほどリアル。

 とにかく面白い。28巻も刊行されていることをなるほどと実感した。

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| 古本読書日記 | 06:35 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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