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知念実希人    「天久鷹央の推理カルテⅣ」(新潮文庫)

 知念を最も有名にした天久鷹央シリーズ。本の帯に160万部販売達成と派手に描いてある。

主人公の天久は天医会総合病院の統括診断部の部長。統合診断部というのは、多くの専門科で病気が何なのか診断したが、結果病名が不明な場合、統合診断部に患者が送られ、そこで病名を診断するのを担当する。

 統合診断部は部長の天久と部下小鳥遊(たかなし)の2人体制。あまり、患者が送られてくることはなく結構暇。天久は女医である。

 その統括診断部に、患者大山秋恵が移送されてくる。激痛の脇腹を押さえながら脂汗を浮べしかし病気が何かがまったくわからない状態。

 聞いてみると秋恵はこの強烈な痛みと血を吐くことが初めてでなく、何回も経験しているとのこと。それが、いつも恋人と別れるたびにその症状がおきる。これは別れた恋人の怨念によって引き起こされていると思うしかなく、霊能者で有名な佐山香織に相談。佐山は300万円払えば、別れた恋人の怨念の魂を追放させるという。どの医者からも、原因がわからないため、300万円は高額だが、魂のお祓いをやってもらおうと秋恵は考えている。

 ここからが、面白い。
佐山が、いかに自分が霊能者として力があるかを信じさせるために、ものすごい努力をする。その努力の偽りを暴く天久との熾烈な戦いがすさまじい。

 この物語を読むと、佐山も天久も、誰も気にとめることのないような物や、出来事を敏感に捉えて、そこから佐山は嘘を造り上げ、更にそれを天久が暴く。当たり前だが、推理小説というのは本来読者が気が付かないトリックから推理解決に向かうものだが、作者知念はこの過程と表現の仕方が卓越している。

 それで、秋恵の病気の原因。子宮内膜の組織が、子宮内部以外の場所に迷いこんで生ずる病気。つまり女性の生理が子宮の外でおきる病気。「異所性子宮内膜症」だと診断。ここまでくると専門的すぎてしばしばタメ息。いつも、聞いたことのない病名にごまかされる。ここが知念ミステリーの評価の分岐点になる。

収録されている「迷い込んだ呪い」より。

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| 古本読書日記 | 06:30 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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