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伊坂幸太郎   「陽気なギャングの日常と襲撃」(祥伝社文庫)

 現在の文学界に君臨している天皇、なんでもいいから原稿をいただく、その原稿を本にすれば必ずベストセラーになるという作家。それは伊坂幸太郎、東野圭吾、村上春樹の3人と林真理子が言っている。

 陽気なギャングは4人で、主の犯行ターゲットは銀行。4人のメンバー。公務員で人の嘘を見抜くのが天才の成瀬。立て板に水の演説で聴衆を煙にまく響野。若き天才的掏りの久遠。超正確な体内時計を持つ雪子。
 銀行強盗はそれぞれの特徴をいかした、実行計画を成瀬が作成し、実施する。

この作品。それぞれの特徴を生かした短中編4編が描かれる。この4編は多分独立した作品で、別々で伊坂が発表した作品を集めて収録したものと思われる。

 伊坂は、それぞれの4作品に描かれている場面を抽出し、それをエッセンスにして、新たな強盗事件の物語を5編目として作り上げている。

 地元大手の筒井ドラッグストアーが、小規模の薬屋を破壊して、ドラッグストアーを創ってゆく。それによって潰された小西薬店。両親は亡くなり、経営している小西の息子の次男は疲弊から交通事故を起こし、その補償に多額な慰謝料や治療費を請求され追い詰められる。
そのため、筒井ドラッグストアーの一人娘良子を小西が誘拐して身代金を要求する。

 成瀬は人質の良子を救出しようとするが、良子は自分の父親のあくどい行為により、小西が追い詰められていることを知っていて、父親からお金を奪取して、小西に与えようとする。このあたりが作者伊坂の卓越した能力を彷彿とさせる。
 このために成瀬が、身代金奪取計画を策定して実行。身代金の一部は小西に支払われ、良子は解放される。

 この物語に、その前の4話のエピソードが差しはさまれる。伊坂ファンには嫌われること覚悟だが、何となく、伊坂の「どうだ俺は天才だろう」という思いを感じ私は少し敬遠してしまう。

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| 古本読書日記 | 06:07 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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