彩瀬まる 「草原のサーカス」(新潮文庫)
人生の中で、取返しがつかないほど大きな間違いを犯した、姉妹の物語。
その姉妹は、姉依千佳と妹仁胡瑠(にこる)。
仁胡瑠は、他人と融和できず、一人で手作りの品を創ることに熱中するタイプ。ハンドメイドのアクセサリーを作って、道端などに作品を並べて販売している。
この仁胡瑠の品物に興味を持ったのが、大手出版社の子会社「ハンドメイド ファッション通販ポーラスター」の貝原塔子。
彼女は、仁胡瑠の作品をポーラスターの通販サイトに載せ、しかも、マスコミに商品の広告を打ちNICOLのブランドで積極的に販売することを仁胡瑠に提案。これを仁胡瑠が受け入れる。塔子はNICOLの商品コンセプトを決めそれによる、PR方法、さらに美しいモデルを使い大々的に売り出す。このトータルのマーケティング戦略があたり、仁胡瑠の製品は爆発的に売れる商品となる。
一方姉の依千佳は業界5位の大手薬品メーカーNN製薬の、開発部門統計解析部に勤務。それに兼務で神楽医科大学非常勤講師をして、新薬研究から最後営業までの工程を教えている。
仁胡瑠の間違い。仁胡瑠が心身ともに信頼をおいている塔子は出版社の社員。当然社内異動がある。塔子が異動でいなくなることが受け入れられない。自分はすべてがダメになると思い込み、塔子の会社に乗り込んだり、塔子のマンションを見張ったりして、塔子から警察に突き出される。
衣千佳は開発からコーディネートしているから、当然新薬開発に絡んだ不正にタッチしたのかと読んでいったら、間違っていたことに途中で気付いた。
当たり前だが、製薬会社は同じ効能の薬で、日々販売競争をしている。製薬会社は、総合病院で使用する薬の決定権を持つ医者に、金品を贈る。面白いことに、営業部門は薬品を売るために、自社の製品が他社の製品より優れているというデータを塔子に強く要求する。
塔子はそのデータ作りに病院の医者に協力要請をする。ここでも医者は金品を手にいれる。
そこで、衣千佳は、上がってくる分析数字から、他社より優れたデータを抽出したり、部分的にデータ改ざんを医者に依頼する。
このデータが他社製品より優位であることを医者から医学専用雑誌に投稿してもらう。
この不正が、別の医者より告発され、衣千佳は逮捕拘留される。
この不正行為、裁判で無罪となる。薬品のラベルなどに、不正数字を書いたり、マスコミにPRとして数字を公表すると、犯罪となるのだが、医学雑誌は一般に読まれるものではなく、全く販売には影響がないからだという判決理由。
なるほど、そういうものかと思った。
しかし、仁胡瑠も衣千佳も社会的制裁を食らい、苦しい人生再出発となる。
間違いを犯してしまう過程は、面白く興味深く読んだが、最後は甘い結論になっていてがっかり。
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その姉妹は、姉依千佳と妹仁胡瑠(にこる)。
仁胡瑠は、他人と融和できず、一人で手作りの品を創ることに熱中するタイプ。ハンドメイドのアクセサリーを作って、道端などに作品を並べて販売している。
この仁胡瑠の品物に興味を持ったのが、大手出版社の子会社「ハンドメイド ファッション通販ポーラスター」の貝原塔子。
彼女は、仁胡瑠の作品をポーラスターの通販サイトに載せ、しかも、マスコミに商品の広告を打ちNICOLのブランドで積極的に販売することを仁胡瑠に提案。これを仁胡瑠が受け入れる。塔子はNICOLの商品コンセプトを決めそれによる、PR方法、さらに美しいモデルを使い大々的に売り出す。このトータルのマーケティング戦略があたり、仁胡瑠の製品は爆発的に売れる商品となる。
一方姉の依千佳は業界5位の大手薬品メーカーNN製薬の、開発部門統計解析部に勤務。それに兼務で神楽医科大学非常勤講師をして、新薬研究から最後営業までの工程を教えている。
仁胡瑠の間違い。仁胡瑠が心身ともに信頼をおいている塔子は出版社の社員。当然社内異動がある。塔子が異動でいなくなることが受け入れられない。自分はすべてがダメになると思い込み、塔子の会社に乗り込んだり、塔子のマンションを見張ったりして、塔子から警察に突き出される。
衣千佳は開発からコーディネートしているから、当然新薬開発に絡んだ不正にタッチしたのかと読んでいったら、間違っていたことに途中で気付いた。
当たり前だが、製薬会社は同じ効能の薬で、日々販売競争をしている。製薬会社は、総合病院で使用する薬の決定権を持つ医者に、金品を贈る。面白いことに、営業部門は薬品を売るために、自社の製品が他社の製品より優れているというデータを塔子に強く要求する。
塔子はそのデータ作りに病院の医者に協力要請をする。ここでも医者は金品を手にいれる。
そこで、衣千佳は、上がってくる分析数字から、他社より優れたデータを抽出したり、部分的にデータ改ざんを医者に依頼する。
このデータが他社製品より優位であることを医者から医学専用雑誌に投稿してもらう。
この不正が、別の医者より告発され、衣千佳は逮捕拘留される。
この不正行為、裁判で無罪となる。薬品のラベルなどに、不正数字を書いたり、マスコミにPRとして数字を公表すると、犯罪となるのだが、医学雑誌は一般に読まれるものではなく、全く販売には影響がないからだという判決理由。
なるほど、そういうものかと思った。
しかし、仁胡瑠も衣千佳も社会的制裁を食らい、苦しい人生再出発となる。
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| 古本読書日記 | 06:20 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑