村田紗耶香 「丸の内魔法少女ミラクリーナ」(角川文庫)
村田ワールドの豊かな発想を全開させた、SF的小説短編集。
私たちの世代は、青春時代、アメリカはベトナムと戦っていた。それで、アメリカは悪の象徴としてマスコミも文学も、音楽も、アメリカ悪から多く生まれてきた。
しかし、現在は、怒りや嫉妬恨みなどの感情の発露をして、いがみあい、喧嘩などは否定され、学校現場では、とにかく話し合いで問題を解決することを、徹底的に指導するようになった。
この結果、怒り抵抗を行動の源泉にしていた我々世代と今のZ世代とは、行動、考えの有り様が、同じ人間とは思えないほど拡がってきたのではないかと、この作品を読んで思えてきてしまった。
主人公、40歳の真琴は、母の看護と父の世話に明け暮れていたが、その問題を解決して、ファミレスでバイトをしだす。
朝のシフトでよく一緒になるのが、学生アルバイトの高岡君と雪崎さん。
朝まで飲んでいた、酔っ払いの中年の団体がやってくる。注文の品を酔っ払いのところへ持って行くと大声で「こんなものたのんでない」と怒鳴る。
高岡君は、淡々と微笑みながら、謝り、注文を確認して、新たな料理をだす。
ある日は注文したドリアがでてこないと客が怒る。微笑みながら雪崎さんが、しばらくしてドリアを客にだす。すると客がタバスコが無いと怒る。それは、調味料コーナーから客がとってくるものだが、雪崎さんはいやがることなく、ここでも微笑みながら、コーナーからとってきてお客に手渡す。
真琴は感心して、「高岡さんと雪崎さんは接客のプロですよ。よく、むっとしないものですね。」と感心して言う。
すると、高岡さん、雪崎さんはきょとんとして
「むっとするとはどんな意味ですか。」と聞く。
「怒るということですよ。」
「怒るなんて言葉は使ったことは有りません。辞書を引いて初めて意味を知りました。」
またある時、小さい子供が席でシャボン玉で遊びだす。
すると高岡が
「やばい、これはなもむ。」
「何ですかなもむって」
雪崎さんも
「ほんと、これは超なもむ」と言う。
若い世代が、全く知らない言葉を使う。
もう分断なんてものでは無い。真琴は、全く異なる人間が存在していることを身に染みて知る。
今や若い世代と年寄り世代はこんな感じにすでになっているかもしれない。
収録されている「変容」より。
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私たちの世代は、青春時代、アメリカはベトナムと戦っていた。それで、アメリカは悪の象徴としてマスコミも文学も、音楽も、アメリカ悪から多く生まれてきた。
しかし、現在は、怒りや嫉妬恨みなどの感情の発露をして、いがみあい、喧嘩などは否定され、学校現場では、とにかく話し合いで問題を解決することを、徹底的に指導するようになった。
この結果、怒り抵抗を行動の源泉にしていた我々世代と今のZ世代とは、行動、考えの有り様が、同じ人間とは思えないほど拡がってきたのではないかと、この作品を読んで思えてきてしまった。
主人公、40歳の真琴は、母の看護と父の世話に明け暮れていたが、その問題を解決して、ファミレスでバイトをしだす。
朝のシフトでよく一緒になるのが、学生アルバイトの高岡君と雪崎さん。
朝まで飲んでいた、酔っ払いの中年の団体がやってくる。注文の品を酔っ払いのところへ持って行くと大声で「こんなものたのんでない」と怒鳴る。
高岡君は、淡々と微笑みながら、謝り、注文を確認して、新たな料理をだす。
ある日は注文したドリアがでてこないと客が怒る。微笑みながら雪崎さんが、しばらくしてドリアを客にだす。すると客がタバスコが無いと怒る。それは、調味料コーナーから客がとってくるものだが、雪崎さんはいやがることなく、ここでも微笑みながら、コーナーからとってきてお客に手渡す。
真琴は感心して、「高岡さんと雪崎さんは接客のプロですよ。よく、むっとしないものですね。」と感心して言う。
すると、高岡さん、雪崎さんはきょとんとして
「むっとするとはどんな意味ですか。」と聞く。
「怒るということですよ。」
「怒るなんて言葉は使ったことは有りません。辞書を引いて初めて意味を知りました。」
またある時、小さい子供が席でシャボン玉で遊びだす。
すると高岡が
「やばい、これはなもむ。」
「何ですかなもむって」
雪崎さんも
「ほんと、これは超なもむ」と言う。
若い世代が、全く知らない言葉を使う。
もう分断なんてものでは無い。真琴は、全く異なる人間が存在していることを身に染みて知る。
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