安藤祐介 「不惑のスクラム」(角川文庫)
山田洋次監督の「幸福の黄色いハンカチ」、アメリカの名コラミスト、ピート ハミルがニューヨーク ポストに載せたコラム「GOING HOME」を彷彿とさせる作品。
主人公の丸川は、6年前通勤電車の中で、女性に痴漢よばわりされ濡れ衣を着せられる。その時、同じ電車の乗客の男から痴漢扱いにされ男を殴打、倒れた男の打ちどころが悪く、そのまま死亡。丸川傷害致死の罪で逮捕され、そのまま6年の実刑を受け、服役する。
6年後刑期を終え出所、殺人犯の妻と娘というわけにはいけないので、妻に離婚を申し出、妻もその申し出に従い離婚をする。
その後丸川は日雇い人夫などで糊口をしのぐが、生活が立ち行かなくなり、毒薬を入手し、自殺しようと、ある河原にやってくる。
死ぬつもりで寝転んでいると、軌道をはずれたラグビーボールが飛んでくる。それを拾ってキックして、練習をしている集団に返す。
その見事なキックをみて、ラグビーチームの最長老の宇多津が、チームに入団するように勧誘し、丸川は来週からの練習に加わることを約束する。
チーム名は「大江戸ヤンチャーズ」。現在まで100人が入団したが、仕事の都合や転勤で自然に来なくなった人も多数いて、今は試合、練習に参加するのは20人。
会社時代に仕事が終わった後、しばしば何人かで一杯やりにでかけた。その席で、会社への不満や、仕事での悩みを発言すると、必ずメンバーの一人が立ち上がり、
「会社が終わってまでも、仕事や会社の愚痴を言うな」
とたしなめる人がいた。
その途端、全く会話ははずまなくなった。
この作品に登場する宇多津は大商社の常務まで務めた人。
だけどラグビーをしている時は、会社の肩書で呼ぶのはやめてみんな「さん」付けにしようという不文律がチームにはある。
でも、試合中、宇多津にボールが渡ると、思わずチームメイトが
「宇多津常務!」と叫ぶシーンがある。
この一行。本当にサラリーマンの習性をよくとらえていると感心する。
最後、チームメンバーの計らいで、丸川が元妻と再会する場面が描かれる。丸川はもう一度妻とやりなおしたいと訴える。しかし元妻は冷たく「私は再婚が決まっているの。」と丸川に言う。
これで終わりと思ったら更に数ページが残されていた。ここでのどんでん返しが鮮やか。
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主人公の丸川は、6年前通勤電車の中で、女性に痴漢よばわりされ濡れ衣を着せられる。その時、同じ電車の乗客の男から痴漢扱いにされ男を殴打、倒れた男の打ちどころが悪く、そのまま死亡。丸川傷害致死の罪で逮捕され、そのまま6年の実刑を受け、服役する。
6年後刑期を終え出所、殺人犯の妻と娘というわけにはいけないので、妻に離婚を申し出、妻もその申し出に従い離婚をする。
その後丸川は日雇い人夫などで糊口をしのぐが、生活が立ち行かなくなり、毒薬を入手し、自殺しようと、ある河原にやってくる。
死ぬつもりで寝転んでいると、軌道をはずれたラグビーボールが飛んでくる。それを拾ってキックして、練習をしている集団に返す。
その見事なキックをみて、ラグビーチームの最長老の宇多津が、チームに入団するように勧誘し、丸川は来週からの練習に加わることを約束する。
チーム名は「大江戸ヤンチャーズ」。現在まで100人が入団したが、仕事の都合や転勤で自然に来なくなった人も多数いて、今は試合、練習に参加するのは20人。
会社時代に仕事が終わった後、しばしば何人かで一杯やりにでかけた。その席で、会社への不満や、仕事での悩みを発言すると、必ずメンバーの一人が立ち上がり、
「会社が終わってまでも、仕事や会社の愚痴を言うな」
とたしなめる人がいた。
その途端、全く会話ははずまなくなった。
この作品に登場する宇多津は大商社の常務まで務めた人。
だけどラグビーをしている時は、会社の肩書で呼ぶのはやめてみんな「さん」付けにしようという不文律がチームにはある。
でも、試合中、宇多津にボールが渡ると、思わずチームメイトが
「宇多津常務!」と叫ぶシーンがある。
この一行。本当にサラリーマンの習性をよくとらえていると感心する。
最後、チームメンバーの計らいで、丸川が元妻と再会する場面が描かれる。丸川はもう一度妻とやりなおしたいと訴える。しかし元妻は冷たく「私は再婚が決まっているの。」と丸川に言う。
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