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原田ひ香  「ミチルさん、今日も上機嫌」(集英社文庫)

 主人公は45歳のミチル。青春時代をバブル絶頂期に過ごした世代。

当時は、女性が最も崇めたてまつられた時代だった。
高級レストランのフルコース、ドンペリもロマネコンティ、最高級ホテル宿泊、車代、いっさいの費用を女性は払ったことが無い時代だった。
 海外旅行だって費用は一切払わない。

当時の就職活動、どうせ入れるわけはないと思うが、銀行に就職用のエントリーシートを出す。すると試験や面接なしに、採用通知が送られてくる。それで、銀行の就職をやめようとすると、人事担当が土下座をして、断ることをやめてくれるよう懇願する。
 とんでもない時代だった。

ミチルは大手建設会社はいり、結婚するのだが、3年前離婚。そして2か月前に建設会社もやめる。手元に残ったのは元夫が譲ってくれたマンションと300万円の預金。

 ミチルが偉いと思うのは、栄光の時代をひたすら懐かしみ、あの時代に戻りたいと思うのではなく、今を生き抜かねばならないと思い、スーパーのレジ打ちに応募したり、チラシのポスティングの仕事に飛び込もうとすること。レジ打ちは驚くことに、採用するのに31人待ち、実質不採用となるが、チラシのポスティングは採用され、1日数千枚のチラシを各家に配布する仕事をめげずに行う。

 妹がミチルについて言う。
「他の人の人生より、自分のことが大切で、人生にはまだ先がある。もっといいことがあるって夢見てるんでしょ。」

 そのチラシの仕事から、不動産屋と知り合う。この不動産屋の社長が相場。あの「東京ロンダリング」の事故物件抹消のためのアルバイトを斡旋してきた不動産屋の社長と同じ名前。

 そして今回は、家賃交渉屋。バブル崩壊で家賃を下げないと部屋が埋まらない。それで新しい客には値引きをして部屋に住んでもらう。しかし、従来から住んでいる住人はもとの値段のまま。
 これを大家と交渉して、新しい住人の家賃と同額にさせる。成功すると報酬をもらう。

これもユニークな仕事だ。
 どんな時代になっても、強く、めげずに、前を向いて歩む。そのミチルの馬力に感動する。

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| 古本読書日記 | 06:03 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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