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桜木柴乃   「それを愛とは呼ばず」(幻冬舎文庫)

 主人公亨介は54歳、新潟の地場会社「いざわコーポレーション」の社長伊沢章子の夫で副社長として章子を支えていた。ところが、章子が不慮の事故で植物人間のようになり、章子の息子により、会社を追われる。

 仕方なく東京にでて就職口を探し、不動産会社に入社。ところが、入社と同時に北海道に飛ばされ、会社がバブル時代に建設したリゾートマンションで売れ残った部屋の販売を担当させられる。

 そのマンションに行ってみると、廃墟のようなマンションで、周囲は荒れて、何もない僻地。

 東京から北海道に移動する前日、亨介は銀座のクラブ「ダイヤモンド」に行き、そこでホステス沙希に出合う。沙希は、タレントを目指して、頑張ってきたが、全く売れず、事務所をクビになったばかり。

 それで亨介を追って、廃墟マンションにやってくる。
この廃墟マンションの7階の部屋を購入した、バブルに踊りそして奈落に落とされた小木田という行き場を失った男がBMWに乗りやってくる。

 ここからが私には印象に残る。
彼の部屋には夥しい数のラブドール、私の時代ではダッチワイフと言われた人形があり、それで切なさを紛らわしていた。ここが本当に悲しい。

 その小木田を追って、春奈という子がやってくる。そして2人は小木田の部屋で心中をする。二人の遺体を発見した、亨介、警察に電話しようとすると、沙希が懸命に止める。
 そして穴を掘り、2人を埋めてあげる。

ここまで読むと、それで肝心の亨介と沙希はどうなるかが気になってくる。
 そして最後には、沙希が亨介を二酸化酸素中毒で殺害してしまう。

沙希と亨介は体の関係が全く無かった。だから、これは愛とは呼べないと沙希は言う。
 当たり前の人生のレールを踏み外し奈落の底におちた人達の生き場所のない切なさがひしひし伝わってくる作品だった。

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| 古本読書日記 | 05:51 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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