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山田風太郎   「南無殺生三万人」(宝島社文庫)

 山田風太郎が編んだ7編の時代小説集。
もう、この作品は山田風太郎にしか書けない小説を紹介したい。しかし、こんな小説を紹介するのはかなり勇気が必要だ。作品のタイトルは「嗚呼益荒男」。

山寺竿兵衛は銭湯が好きだった。ある日、銭湯につかっていると、男達が5組に分かれて果し合いをすると言っている。その5組それぞれにどちらが勝つか、竿兵衛がそれぞれの男根を観て、占う。そして結果を全部言い当てた。

 他にも、同じような状況で男根をみて占い、その殆どを言い当て、評判を呼び「占い竿根堂」という看板をだし、男根占いでお金を稼ぐ。

 しかし世の中それほど多くの果し合いがあるわけでなく、もっと金稼ぐためにはどうしたらいいのか、懸命に考え新たな商売を始める。

 当時は戦国時代、戦が全国でしょっちゅう行われていた。そこで人を雇い、戦場にでかけ、そこで戦死した男の男根を斬り落とし、これを高級な箱におさめ、遺族の元に持ち帰って、男根を買ってもらうのである。

 しかし、中にはそんなものいらないという妻もいる。こんな時の竿兵衛の言い草が秀逸。

 「なんじゃと?御亡夫のご遺根が欲しゅうないと?これはまた何たる御無情な!これを御覧なされ、これがあなたさまをあれだけよろこばせた御道具でござるぞ!やれ、いとしや、なつかしやと抱きしめて頬ずりでもなさるのが妻の情と申すものではござらぬか!」

 「は、はい。それはわかっておりまするが、せめて御遺骨か、御遺髪ならまだしも・・・。」

 「頭の骨や髪が何でござる? 御亡夫があなたを妻と選ばれたことに、骨や毛は何の関係もないただ、このものでござる。あなたが欲しがったのはこれでござるぞ。
 しかるにこのものを顧みられぬとは、人間の信義を裏切る大不義ですぞ!」

唖然呆然。よくもこんな発想の物語を創るとは。でも、本当に説得力がある。

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| 古本読書日記 | 06:10 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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