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湊かなえ   「カケラ」(集英社文庫)

 ベストセラー「告白」から、告白スタイルを踏襲しているイヤミス作品。
この作品は、今までのスタイルとはかなり異なる。
  小説の主人公は、元ミスワールドビューティ日本代表、美貌の持ち主でテレビや出版界で活躍している美容外科医橘久乃。
 久乃は、ほぼ物語全編に登場するが、殆ど主体的な言動はしない。久乃は、小学校の同級生横網八重子の娘有羽が、八重子が揚げた大量のドーナツに囲まれて死ぬ。何故有羽は死なねばならなかったのか、久乃が八重子、有羽と関わり合った人達に取材して行く形で、真相を暴いてゆく。

 ということは、それぞれ関わり合った人達の告白を久乃が聞くというスタイルで物語が進行する。だから、物語の舞台には久乃は常に存在しているが、その姿は消えている。

 間違っているかもしれないが、人間の言葉は初め、本能から発する感情から生まれ、それが人間の根底に横たわっているように思う。冷たい、熱い、きれい、きたない、美しい、醜いなど。その後から、思考が始まり、考えをベースにした言葉が生まれたと思う。

 だから、人間は、他人を見た場合、好き、嫌いを相手の美醜でまず決める。人間は見た目じゃないというのは、後付けでできたことで、本能としての美醜がまず関係を決める。

 美男子、イケメン、背が高い。美人、可愛い、スタイルがいい。デブ、チビ、ハゲ、ブス、これで好き嫌いの判断が決まるのは辛いものでもある。

 久乃が言う。
「生命に関わる大病に冒されている人を救う行為も尊いけれど、それは男性の医者でもできる。それこそ、外見なんて関係ない。それよりも、私だからこそ救えるひとたちがいるのではないだろうか。
 この世の中が外見の美しい人に優しいのなら、皆きれいになればいい。むしろ、それをためらう理由がわからない。医学の力でできることを、どうして拒否する必要があるだろう。」

 物語では、醜くても、人生の幸せとは関係ないと主張、告白している人が多く登場する。しかし、どうにもその告白が無理をしているように感じてしまう。

 まあ、見た目の美醜なんて、60歳を過ぎれば殆どの人には関係ないことになるのだけれど。

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| 古本読書日記 | 06:34 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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