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アンソロジー    「光秀」(PHP文芸文庫)

 明智光秀を描いた歴史短編小説傑作選。
どの作品も面白いのだが、群を抜いて面白かったのが怪奇小説大家、山田風太郎の作品「忍者明智十兵衛」。

 40歳にもならないのに、頭の毛は薄く、うらなりのような風采のあがらない明智十兵衛(光秀)が越前国藩主朝倉義景のところにやってきて、奉公したいと申し出る。義景はその容貌をみて、断ろうとすると、明智が、「私の腕を切り落としてほしい。」と言う。そして大きな甕にいれて蓋をして、一か月後に蓋をあけてほしい。その時、切り落とした腕が元通りになっていたら、家臣にしてくれと。

 そこで義景が右腕を刀で切断する。夥しい血が噴き出る。そして腕がない体を甕にいれて蓋をする。
 一か月後、蓋をとる。すると腕がきちんと付いている明智が甕からでてくる。

朝倉家の大老の娘沙羅は、朝倉大老の家臣、土岐弥平次を恋していて、結婚してくれるようしつこく言い寄る。しかし弥平次は、沙羅は直径の主筋、私は家来。とても結婚なんかできないと断る。

 その沙羅を明智が好きになる。
明智は、弥平次に、自分の首を斬り落として、甕にいれ一か月後に甕の蓋をとってくれとお願いする。

 弥平次は逡巡したが、しつこく頼まれたので、明智の首を斬り落とし、甕にいれ蓋をする。
そして一か月後に蓋をとると、首から上が弥平次になって甕から飛び出てくる。弥平次が驚いて、なんで顔が俺になるのだと責めると、首を斬られる時、弥平次にしてくれと強く念じたので、弥平次になるのだと、明智が答える。

 明智の弥平次は、身分からして沙羅を恋することに何の障害もない。沙羅ももちろん大好きだから、2人は強く抱きしめ合う。
 それから10年。少し前から弥平次の顔が変わりだし、50歳になると、頭は禿げ上がり、うらなりひょうたんの冴えない顔に変わってしまう。

 いいねえ、この最後の落ち。

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| 古本読書日記 | 06:05 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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