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冲方丁   「マルドゥック・スクランブル燃焼」(ハヤカワ文庫)

 紹介の作品は、3つの本に分冊されている。それぞれが「圧縮」「燃焼」「排気」と名前がつけられ、本の紹介では3部作と書かれているので、それぞれが名前に従いテーマを持ちどの本から読んでも、小説として確立しているから、問題ないと思い、最初「燃焼」を手にとり読み始めた。しかしどうもちんぷんかんぷん。それで、最初の「圧縮」から読んでみた。

 そして、この本は超大作で、物語は、本単位で途切れることなく続いていることがわかった。例えば紹介した2刊目の本は、主人公少女バロットと悪に寝返ったボイルドとの戦いが途中で終わり2刊目の冒頭は戦いの続から始まり、このバレットがカジノで賭けを行うのだが、この賭けの途中で2刊目は終了している。変な付属タイトルは付けずに単純に上、中、下にしてほしかった。それにしても、SFファンタジーとしては、最近はみられない大作だ。

 紹介の2刊目、何故バレットがカジノで賭けゲームを行い、そこを延々とこの本では描くにだが、この意味がうまく咀嚼できていない。

 そこで、作品の中で本当に考えさせられたところを、紹介する。

ボイルドが戦争で味方を誤射により殺害してしまい、国が行っている人間改造研究所に収容される。そこの博士フェイスマンに対し、ボイルドが戦争の体験から、言う。

 「博士は、命に価値があると言うのか。」
 「それは、真理を逆転させた、愚かな問いだ。価値は、あるのではない。観念であり、創りだすものだ。命の価値を創り出す努力を怠れば、人間は動物に戻る。社会とは、価値を創り出し、価値を巡って機能する。人間独自のシステムだ。」

これは重い言葉だ。命の価値は人間だけが作りだしたものだ。それは、決して後退破壊してはならない。
例えば、今、ロシアに住む人々は、命の価値について考えを持ってはいけない。権力者にひたすら従う動物でなくてはならない。

 冲方は価値は人間が長い歴史をかけて創るものと作品で書く。創られた価値を破壊する社会にしてはならない。そんな言葉は深く、重い。

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| 古本読書日記 | 06:28 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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