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畠中恵     「てんげんつう」(新潮文庫)

 大ベストセラーになっている「しゃばげ」シリーズ第18弾。5つのやや長めの短編が収められている。

 この作品の奇想天外のところは、主人公の廻船問屋兼薬種問屋、長崎屋の若旦那一太郎と兄やんの佐助、仁吉を含めすべて登場人物が、妖か鳴家(やなり)、要するにお化けであること。そして、そのお化けたちが異常に長生き。なにしろ、一太郎の祖母おぎんは3000年を生きてまだ健在。

 だから誰か同じ妖に通りで出会った時、あいつには会ったことがあるなあ。そうだ平安時代に一回会ったことがある。こういう話がポンポン飛び出す。それが本当に面白く魅力的だ。

 てんげんつうとは天眼通のことで、今までに辿った人生、そして今から遭遇する人生、更に他人の心の中まで見通せる力を持つ者のことを言う。

 ある日、そんなてんげんつうを持った男が一太郎を訪ねてくる。自分の左眼は、ある猫又からもらいうつしたもの。これがてんげんつうだった。

 この男が一太郎に言う。
「このてんげんつうのおかげで、他人の心やこれから起こる不幸が全て見えてしまう。それを黙っておけないので、喋ると、みんなから嫌われ、誰も喋ってくれない。生きるのが苦しい。何とか救って欲しい」と。

 一太郎は方策を考えるがいい案が浮かばない。それから色々おこるのだが、最後に一太郎とてんげんつう男が対決。ここで一太郎が、思いきり、てんげんつうの後頭部をぶったたく。するとてんげんつうだった左眼がとびだして、ふっとぶ。

 てんげんつうは嘆く。てんげんつうをずっとつけていたかったと。
私たちはどうだろう。何でも見えちゃう眼がついていたほうがよいだろうか。うーん難しいな。

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| 古本読書日記 | 06:09 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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