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畠中恵    「えどさがし」(新潮文庫)

 畠中の代表作で大ベストセラーになった「しゃばげ」シリーズの外伝として出版された本。表題作以外に五編が収録されている。

 どの作品も相変わらず、妖や鳴家たち、幽霊のような面々が活躍するが1作品「たちまちづき」だけがまったく妖、家鳴が登場しない変わった作品。

 上野広徳寺の高僧、寛朝から祈祷をしてもらい妖封じの護符をもらうと禍々しいものから襲われることがないと世間では信じられている。

 このことをおおいに広徳寺は宣伝して、大名や商人を中心に護符を販売して大儲けをしている。

ある日、口入屋、大滝屋の主人大滝安右衛門が女房お千に連れられ、寛朝のところに祈祷、護符をもらいにやってくる。しかし、寛朝には、妖たちが見えるのだが、この夫婦のどちらにも妖たちの姿は見えない。
つまり、二人には妖はとりついてはいない。

相談は一方的に妻のお千が、速射砲のごとくしゃべりまくり、主人の安右衛門はお千の横で、ちんまりと控えているだけ。

 お千が言うには、
「旦那の安右衛門は、気が小さくて、商売相手とまったく上手く話せないし、おとなしすぎて商売にならない。今は番頭の梅造が何とか店を回してくれているが、この先今のままの安右衛門では商売が心持たない。安右衛門がこんなに気が小さく、おとなしいのは安右衛門に女の妖がとりついているからだ。だから寛朝様に追い払って欲しい」と。

 しかし、おとなしくさせるためにとりつく女の妖は世の中に存在しない。
そのうちに、安右衛門が夜、何者かに襲われ大きな傷を負い、寛朝の広徳寺で療養することになる。
すると、番頭梅造をさておいて、お千が得意のしゃべりで大活躍して、商売を切り盛りする。

 しかし、番頭に相談しないため、さる大名に斡旋した2人の用人が、喧嘩をして、高価な進物用の花瓶を落としてしまい、壊してしまう。このままでは、大滝屋は倒産するかもしれない。

 ここで寛朝とその弟子秋英が、見事に真実を暴き、解決する。そこにいつもの妖は登場せず、
正統派ミステリーに近い作品になっている。読者を幻惑する畠中さんの得意顔が目に浮かぶような作品だ。

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| 古本読書日記 | 06:24 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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