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桜木紫乃    「光まで5分」(光文社文庫)

 北海道の片隅の町で、義父におかされ辛い日々を送っていた主人公38歳のツキヨは、絶対に知り合いに会う可能性が無い、沖縄にやってきて「竜宮城」という風俗店で働く。

 作品には3人の男が登場する。

1人は万次郎。地方の有名な歯医者の息子で、実家の歯医者を継いでいたのだが、女性トラブルを起こし、歯医者を飛び出し、沖縄でタトゥーハウス「暗い部屋」というシェアハウスで、闇の歯医者と入れ墨彫をしている。

 もう一人はヒロキというホモの男。ヒロキは万次郎に背中にモナリザの入れ墨を彫ってもらっている。

 更にあと一人は南原という「暗い部屋」を所有している男。この南原という男は、ツキヨを気に入っていて、竜宮城にツキヨを指名してやってくる。後ろのポケットに札束をねじこんでいて、竜宮城のママ経由でツキヨに万札を何枚も惜しげもなく渡す。

 実は南原は、もう死にたいと思っている万次郎を沖縄まで連れてきて、歯科医院の万次郎の母から、万次郎を養う費用として大きなお金を毎月もらっている。そこからツキヨへのお金もでていた。

 ヒロキの飼っている猫が死ぬ。遺体を埋めるために、ヒロキの出身の小さな島、奥志島に南原ら男3人とツキヨが行く。

また南原が自分の母から金をもらっていることを万次郎が知るが、南原はそれでお前が生きていられるのだと居直られる。南原は悪の権化のような男。南原はツキヨも犯す。

 大悪党の南原の毒牙にからめとられていく、万次郎、ツキヨ、ヒロキのたどりつく先の運命はどうなるのかが読みどころ。
 ツキヨのあっけらかんとした生き様が印象に残る作品。光の速度でみれば、人間生まれて死ぬまでは5分間。たった5分。だから明るく生きようよという作者桜木さんの声が聞こえてくる。

 桜木さんは、旭川に住み、北国の人々の苦しい生活、やるせなさを暗いトーンで描くことを得意とする作家だ。

 この作品の舞台は明るく、光が強い沖縄が舞台。私は桜木さんの暗いトーンの作品が好きだ。沖縄の明るさは桜木さんには似合わないと感じる。かなり面食らった。

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| 日記 | 06:52 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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