fc2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

垣谷美雨   「姑の遺品整理は迷惑です」(双葉文庫)

 最近はコロナがあり、テレワークも一般化したため、自然を求め、東京を脱出して田舎に住いを移す人が多くなった。どんどん田舎に転出する人ばかりかと思っていたが、私の知り合いにもいるが、田舎から都会に戻る人も結構いる。老夫婦だけになり、身体もあまり動かなくなり、車の運転も危なくなる。田舎では暮らすのが難しくなり、街へ戻ってくるのである。

 この作品の主人公望都子の義父母も街帰りして、アパート3DKの4階に住んでいた。義父が死に、義母も突然死ぬ。そして、遺品が残る。

 我々の世代の両親というのは、断捨離なんて言葉はしらない。広い一軒家から、ありとあらゆる物をアパートに持ってきて3DKの部屋に詰めきる。この遺品整理に義娘の望都子が格闘する。

 物語はしつこいくらい、異常な量の遺品を、多くのページをさき描写する。

突然死だったため、冷蔵庫には消費期限切れの食料が満杯。服や着物が満杯のタンスが三竿。
押し入れもすべて色んなものがギューギュー詰め。天井裏には、いろんな物が入っている箱やアルバムが積み上げてある。それから大量な食器に調理器具。わけのわからない石や消火器まである。

 義父母だから、息子の夫が整理をすればよいのだが、男というものは、こんな場合だいたい仕事にかこつけて整理を拒否する。

 エレベーターの無い4階、階段を使って、遺品を持ち運びせねばならない。そんなことをしていたら1年以上かかる。その間、家賃を払い続けねばならない。
 会社の先輩のアドバイスで遺品整理会社に頼もうとするが、見積もりが96万円。
茫然自失。

 しかし老夫婦というのは、ちゃんとこの状態を解決する遺品も残してくれてある。
それは近所との強いつながり、暖かい関係、彼らの手助けによって遺品はきちんと整理される。

 みんながそうだとは思わないが、義父母の残しておいてくれた遺品に納得。良かった大量の遺品が整理できて。

ランキングに参加しています。ぽちっと応援していただければ幸いです。
<

| 古本読書日記 | 06:03 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT