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河合隼雄    「おはなしの知恵」(朝日文庫)

 日本や世界にある昔話を取り上げ、そこから蔓延する、家庭内暴力、思春期の悩み、親子関係の崩壊など、現代人が抱えている大きな課題の原因を考察する作品。

 たくさんの昔話が取り上げられているが、誰でも馴染のある「桃太郎」を取り上げる。

まず、何と言っても不思議なのは、桃太郎が人間からではなく桃から生まれたことである。古事記では、イザナギが死んだ妻イザナミを黄泉の国に訪ねる。この時、黄泉の国の禁止戒律をイザナギが破ったため、イザナギが黄泉の国から追われ逃げる。その途中イザナギはこの世と黄泉の国との境にある黄泉比良坂で桃の実を3つ買い、これを投げると、黄泉の軍が逃げ帰ったという話がのっている。

 桃は古来より悪霊を防ぐ呪力があるものと考えられていた。そこから、桃には神霊が宿っていると考えられ、つまり桃太郎は神の子であるとなった。

 日本各地に残っている桃太郎は、怪力はあるのだが、粗暴で堕落している子供だったと描かれているものが多数ある。

 爺さん婆さんは、桃太郎が神の子なのだから良い子に育てねばならないと頑張る。桃太郎は暴力を振るい抵抗するのだが、爺さん婆さんは、暴力を振るわず桃太郎を育てる。家庭内暴力に対応する育て方が示唆されていると河合は書く。

 桃太郎の話で傑作だと思ったのは、地方により、実は桃太郎には弟桃次郎がいたという話がある。そして、桃次郎は童謡になって歌われている。

 兄きに似てない桃次郎
 よわむし、寒がり、ひねくれや
 よいやさ、きたさ

 大きくなったが 桃次郎
 鬼にうなされ、しっこたれ
 よいやさ、きたさ

そして最後は
 村の広場にすえられて
 おしりをぶたれて、泣きじゃくる

となる。

何か桃太郎、桃次郎の出現によって、更に親しみがわく。
実に、面白い。

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| 古本読書日記 | 06:34 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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