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ビートたけし   「浅草キッド」(講談社文庫)

 ビートたけしがツービートとして世にでる前、浅草フランス座で師匠深見千三郎と過ごした青春時代を描いた自伝小説。

 この作品本当にビートたけしが書いたのだろうか。たけしの特徴である、弾けるような毒舌も無ければ、天才たけしの面影も殆ど皆無。これは口述筆記でもなく、たけしに取材した誰かが、その内容を編集執筆して、たけしに了解をもらい作品にしたのではと思ってしまった。

 内容は平凡だが、それでも、変わり者の筆頭である師匠深見千三郎とたけしのことゆえ、これはと思える箇所もあった。これをもっと大げさに拡大して書けば、たけしらしい作品になったのに。

 深見千三郎は、軍需工場で誤って、左手の第二関節から先をすべて失ってしまっていた。これが原因で舞台からは遠ざかっていたが、時々舞台にでて左手を頭にかざし、「指が頭にささっちゃった。」あるいは、ストリップ女優たちの前で、指を口に咥えた仕種から、てのひらを口から出す。そして「あーあ!指を全部食べちゃった」とやる。

 すごいな、さすが天才たけしの師匠。失った指を芸にしてしまう。

師匠はしょっちゅうたけしに数万円の金を与えて、競馬の馬券を購入してくるよう言いつける。そして、その馬券はすべてのレースで「7-8」。そんな端の馬券の馬がくることはまず無い。

 たけしが競馬場から帰ってくると、師匠が買った馬券をよこすように言う。そんなはずれ馬券は全部捨てたとたけしは言う。
 はずれ馬券など、競馬場に捨ててしまっちゃったと。
それは、うそ。たけしは預けられた数万円で違う馬券を買っていたのだ。

 こんな面白いことがサラサラと書いてあるのが残念。

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| 古本読書日記 | 06:02 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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