石原慎太郎 「湘南夫人」(講談社文庫)
巨大企業、北原グループの社長が急逝。そのグループを非嫡子である志郎が引き継ぐ。引き継いだのは会社だけでなく、亡くなった前社長の未亡人紀子まで、妻にして引き継ぐ。
そして志郎の遠戚にあたる、野口夫婦とともに、湘南に大邸宅を構え同居する。
野口は音楽評論家をしているが、いつか誰かに日本オリジナルの交響曲を作ってもらい、演奏会を開き、お金を稼ぐ野望を持っている。更に野口は紀子に恋心を抱いている。
そんなところへ、野口の妻良子の甥で自衛隊少佐の明が、派遣先のソマリアから戻ってきて、 湘南の邸宅で暮らすようになる。明は、ソマリアで一緒だったスウェーデン兵からもらったという拳銃をみんなの前でみせびらかす。実は、明も紀子に恋心を抱いている、三角ならぬ四角関係である。
野口は平井という作曲家をみつけ、彼に交響曲を作るよう要請する。交響曲は完成するが、演奏者がいない。メインとなるピアノは、母親が天才ピアニストだった紀子をかつぎだす。
そのほかの演奏者はプロにお願いしたいのだがその費用がない。ところが、その費用の手立てができる。
一方明は、最新武器の先端部品を北原グループで製造できるよう、防衛省と話をつける。
ところがそれをもっと大きい企業にとられる。野口がコンサート費用捻出のために、大企業に技術を流していたのである。
そして新潟でのコンサート。明が保護役として、紀子についてゆく。そこで中越地震が起き、泊まっていた旅館が崩壊。助けがくるまで明と紀子は暗闇の中、何日も抱き合う。」
この物語、石原が油がのりきった頃に書いた作品だと思っていたが、実は死ぬ3年前に書かれた作品だった。
解説を担当している息子の石原良純によると、慎太郎は脳梗塞をおこした後だったが、車いすで、机まで良純が運んであげ、そこで慎太郎は執筆したと書いている。
四角関係、武器製造から平和の象徴である音楽界、最後は中越地震、そこでの強烈なラブシーンと、物語がどんどん変転する。慎太郎87歳での作品。作品の出来は別として、87歳の石原のストーリー創造力には驚愕する。
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そして志郎の遠戚にあたる、野口夫婦とともに、湘南に大邸宅を構え同居する。
野口は音楽評論家をしているが、いつか誰かに日本オリジナルの交響曲を作ってもらい、演奏会を開き、お金を稼ぐ野望を持っている。更に野口は紀子に恋心を抱いている。
そんなところへ、野口の妻良子の甥で自衛隊少佐の明が、派遣先のソマリアから戻ってきて、 湘南の邸宅で暮らすようになる。明は、ソマリアで一緒だったスウェーデン兵からもらったという拳銃をみんなの前でみせびらかす。実は、明も紀子に恋心を抱いている、三角ならぬ四角関係である。
野口は平井という作曲家をみつけ、彼に交響曲を作るよう要請する。交響曲は完成するが、演奏者がいない。メインとなるピアノは、母親が天才ピアニストだった紀子をかつぎだす。
そのほかの演奏者はプロにお願いしたいのだがその費用がない。ところが、その費用の手立てができる。
一方明は、最新武器の先端部品を北原グループで製造できるよう、防衛省と話をつける。
ところがそれをもっと大きい企業にとられる。野口がコンサート費用捻出のために、大企業に技術を流していたのである。
そして新潟でのコンサート。明が保護役として、紀子についてゆく。そこで中越地震が起き、泊まっていた旅館が崩壊。助けがくるまで明と紀子は暗闇の中、何日も抱き合う。」
この物語、石原が油がのりきった頃に書いた作品だと思っていたが、実は死ぬ3年前に書かれた作品だった。
解説を担当している息子の石原良純によると、慎太郎は脳梗塞をおこした後だったが、車いすで、机まで良純が運んであげ、そこで慎太郎は執筆したと書いている。
四角関係、武器製造から平和の象徴である音楽界、最後は中越地震、そこでの強烈なラブシーンと、物語がどんどん変転する。慎太郎87歳での作品。作品の出来は別として、87歳の石原のストーリー創造力には驚愕する。
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