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押川剛    「子供の死を祈る親たち」(新潮文庫)

 押川のこの本以前に読んだ作品のタイトルが「子供を殺してくださいという親たち」。
紹介本もそうだが、どちらもまったくおぞましい、過激なタイトルだ。

 押川は精神障碍者移送サービスを行っている。精神障碍者と思われる人を、強制ではなく、本人や家族、関係者を説得して、医療施設につなげるサービスである。

 この作品は、実際の移送ケースをいくつも詳細に紹介し、それに基づいて現在の障碍者問題を説明しその解決を提示している。

 正直、問題とその解決方法については、圧倒的な恐ろしい現場、現実に驚愕してしまい、読んでもなかなか頭に入ってこない。
家族が崩れてゆく過程は、お金によることが多い。

「〇〇をしなさい。」と親や回りの人から言われ、それを実現、実行できないと子供は強迫観念症に陥る。強迫観念を回避するために、子どもは親にお金を無心するようになる。そして部屋にひきこもりが始まる。最初は小使い程度、ゲーム機や化粧品代くらいから始まる。親もそれで外へでるようになれば、気分転換になるのならという気持ちからお金を与える。

 それがだんだんエスカレートする。要求に応えなければ、親への暴力が始まる。
そして、凶器をふりかざして、預金通帳を奪い、年金も取られてしまう。
立場は逆転して、親が子供から生活費をもらう。

最後には、親が建てた家を追い出される。親はアパートを借りて住む。「ひきこもり」が「たてこもり」に変わってしまう。完全に子供が親を支配する。

 すごい、現実におきているホラーの世界。湊かなえや真梨幸子の小説より恐ろしい。

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| 古本読書日記 | 05:56 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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