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村山由佳    「まつらひ」(文春文庫)

 神秘の祭りとそれからいざなわれる性愛が織りなす6編の作品集。

私が住む、地方都市の中の一つの地区。1000人ほどの住民が住んでいるが、江戸時代には13戸の家が集まる集落だった。一軒は庄屋だったが、残りは全部百姓だった。その後、明治大正と農家は増加し、全部で30軒余になったが、今は全く農家は無くなった。

 畑だったところは宅地造成されて、新しい住民がやってきた。またそれ以外では多くのアパートが建った。

 もう農家を継ぐという人は希少価値になり、殆どは都会にでて、別の職業につくのが当たり前の時代になった。
私も男3人、女1人の4人姉弟で、大きな農家をしていたが、男3人は誰も家業は継がなかったし、親もそれを求めてはいなかった。

 この作品集の第一話「夜明け前」。主人公の女性は、幼馴染のレタス農家の次男に嫁ぎ、厳しい農業に従事している。
 物語は何十年も前の話のように思える。

レタスの収穫は、毎朝午前3時から始まる。これが収穫期の夏は毎日。とても、こんな農家に嫁さんは来ない。私の若い時代でも、農家はフィリピンや中国に嫁さんを求めていた。

 物語では、次男に子種が無い。ところが、嫁さんは妊娠する。そして流産する。
どうして、夫に子種が無いのに、子どもができたのか。ときどき、主人公の嫁は、夢のなかで、どぎつい性愛を行う。どうも、これが夢ではなく、長男の一臣が帰省したとき、弟の夫に代わり、次男の妻と性行為をしていて、それを夢のように妻は錯覚していたらしい。
 しかも、この作為に義母も手伝っていた。

村祭りの日。帰省した兄一臣と夫と主人公3人、ライトバンで祭りに行く。その帰り、道をはずれて、草地にとまり、荷台で一臣にセックスを強要される。夫は脇でそれを見ている。

 帰ると、レタス収穫が始まる。疲れ切った嫁に義母が言う。
「早く後継者を作ってね。」この一言が恐ろしい。

だけど、現在ではこんな話は殆どありえない。だからまったくせまってこない。

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| 古本読書日記 | 05:52 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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