筒井康隆 「ロートレック荘事件」(新潮文庫)
工藤忠明は同い年の従兄浜口重樹と八歳のとき、近くの公園の滑り台で遊んでいた。
滑り台の高さは4mあり、重樹はそのとき中間にある踊り場のような場所に座り、止まっていた。忠明は尻にローラーを敷いて、てっぺんからすべりだす。勢いがついて、踊り場で止まっている重樹を思いっきり突き飛ばす。重樹は踊り場から放り出され地面にまっさかさまに落ちる。これで重樹は脊髄を壊し、生涯、重い障害を持っての暮らしを余儀なくされる。
忠明はそこから重樹に寄り添い、重樹を支え暮らすことを誓い実行する。
そして、28歳の夏、重樹と忠明は、木内文麿が所有する高原の館、ロートレックが多く飾ってあるロートレック荘に招かれ過ごす。
忠明はその時大学の講師をしていて、自分が教える美人の生徒3人牧野寛子、立原絵里、そして木内夫妻の娘、木内典子を誘う。別荘では招かれた5人とともに木内夫妻、それから別荘番を20年も続けている馬場金造が一緒に過ごすことになる。
ところが、この館で3人の女学生が次々銃で撃たれ、殺されてしまう。
犯人は、別荘で一緒に過ごしている人間しかありえない。誰が犯人か、推理小説ではよくあるパターンである。
物語では、重樹を障碍者にしたのは忠明であると読者を誘導するが、読み進むと俺と名乗る人間が登場、これが忠明のようにも思えるし、違う人間のようにも思える。
物語の半分を過ぎたくらいに、突然修という人間が登場する。
ややこしいのだが修が滑り台から転落して、転落させたのは忠明ではなく、兄の重樹だということが徐々に明らかにされる。
そう。別荘には忠明と重樹だけでなく、もう一人の男が客として泊まりにきていたのだ。
この作品200ページの作品で、それほど長い作品ではない。しかし筒井は作品が完成するまでに2年半かかったという。
それはそうだ、3人の女性の銃殺、それぞれのトリックも考えねばならないし、何よりも別荘にやってきた男は忠明と重樹の2人だけと読者に思わせるよう、実はもう一人やってきた男がいることさとられないよう、細心の神経を配って、各場面を描かねばならない。これは2年半かかるわけだ。
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滑り台の高さは4mあり、重樹はそのとき中間にある踊り場のような場所に座り、止まっていた。忠明は尻にローラーを敷いて、てっぺんからすべりだす。勢いがついて、踊り場で止まっている重樹を思いっきり突き飛ばす。重樹は踊り場から放り出され地面にまっさかさまに落ちる。これで重樹は脊髄を壊し、生涯、重い障害を持っての暮らしを余儀なくされる。
忠明はそこから重樹に寄り添い、重樹を支え暮らすことを誓い実行する。
そして、28歳の夏、重樹と忠明は、木内文麿が所有する高原の館、ロートレックが多く飾ってあるロートレック荘に招かれ過ごす。
忠明はその時大学の講師をしていて、自分が教える美人の生徒3人牧野寛子、立原絵里、そして木内夫妻の娘、木内典子を誘う。別荘では招かれた5人とともに木内夫妻、それから別荘番を20年も続けている馬場金造が一緒に過ごすことになる。
ところが、この館で3人の女学生が次々銃で撃たれ、殺されてしまう。
犯人は、別荘で一緒に過ごしている人間しかありえない。誰が犯人か、推理小説ではよくあるパターンである。
物語では、重樹を障碍者にしたのは忠明であると読者を誘導するが、読み進むと俺と名乗る人間が登場、これが忠明のようにも思えるし、違う人間のようにも思える。
物語の半分を過ぎたくらいに、突然修という人間が登場する。
ややこしいのだが修が滑り台から転落して、転落させたのは忠明ではなく、兄の重樹だということが徐々に明らかにされる。
そう。別荘には忠明と重樹だけでなく、もう一人の男が客として泊まりにきていたのだ。
この作品200ページの作品で、それほど長い作品ではない。しかし筒井は作品が完成するまでに2年半かかったという。
それはそうだ、3人の女性の銃殺、それぞれのトリックも考えねばならないし、何よりも別荘にやってきた男は忠明と重樹の2人だけと読者に思わせるよう、実はもう一人やってきた男がいることさとられないよう、細心の神経を配って、各場面を描かねばならない。これは2年半かかるわけだ。
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| 古本読書日記 | 06:24 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑