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西村淳  「面白南極料理人」(新潮文庫)

 猛威をふるう、ウィルスの存在さえゆるさない。平均気温-57度の世界。知らなかったのだが南極の日本の基地は昭和基地だけだと思っていたが、何と昭和基地から1000KMも離れた、3800Mの高地にドーム基地があり、そこで選り抜きの食材を使い、料理を提供する作者が、第38次南極越冬隊に参加して、越冬隊メンバー9人の仲間とともに暮らした記録を綴る。
悲壮感はなく、ユーモア溢れている。

 食材選びの工夫。よく提供される国民食はカレー。最近は一般味のカレーは好まれず、インドなどアジア風の味が求められる。その味は、普通の固形カレーに太田胃散を混ぜればそれなりの味がでるそうだ。

 レクレーション、屋外で、ソフトボールをする。9人だから、4人ずつ別れ、チームを結成して、残り1人は審判。回数は3回で、三角ベース。

 打ったボールはグローブで捕球できない。はめたグローブは広がったままコチコチに凍って、閉じることができない。ゴロは上からグローブで覆って止めるしかない。金属バットでボールを打つのだが、決してカキーンなどというクリアーな音はしない。金属バットの鋼柔性がなくなり、ボールも凍ってバットに当たると、「バキッ、ベキッ」と音がして、その度にバットが、へこむか折れるか、ひびがはいる。

 -50度以下、3800Mの高地での野球。3回もやると、くたくたに疲れる。延長は絶対不可能。

 一番怖い病気が凍傷。この病気にかかると、タイムリーに手当しないと、壊死になってしまう。
 この凍傷を防ぐ一番いい方法は、パンツの中に手をいれ〇玉を握って暖をとることだそうだ。

 こんな我々には想像できない世界を面白くリアルに描いて楽しめる作品になっている。南極にぐっと近付けた。

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| 古本読書日記 | 05:33 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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