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畠中恵   「たぶんねこ」(新潮文庫)

 私の娘が畠中さんの大ファンで、よく読んでいる。変なライバル意識が邪魔をして、娘の好きな作家の本など読めるかということで今まで畠中さんは殆ど読んだことは無かった。

 今まで1万5千冊の本を読んできた。さすがに読む本を探すのが大変になってきた。
そこで変な意識を捨てて、畠中さんの作品を手に取った。

 この作品はかの大ベストセラー「しゃばげ」シリーズの第12作目。「しゃばげ」シリーズはシリーズ20作が出版されていて何と総販売数は870万部ととんでもない記録を樹立している。

 5つの作品が収録されている。

  主人公は廻船問屋兼薬種問屋の息子一太郎。身体が弱く、しょっちゅう病気になり、床に伏している時が多い。一太郎の祖母が妖で、この一太郎も妖。一太郎の家にはたくさんの妖がいて、一太郎にはその存在が見えるのだが、一般の人達には見えない。

 最後に収録されていて、本のタイトルにもなっている「たぶんねこ」では妖でなく月丸という幽霊が登場する。この月丸が猫に化けようとする。姿、形は猫なのだが、犬と大きさは同じ。この化けた猫を襲う生きた猫が登場する。思い切り月丸に襲いかかるのだが、そのまま月丸の身体を通り抜けてしまう。

 月丸幽霊が面白い。自分の居場所を懸命にみつけようとする。幽霊は、どこでも好きな場所にでることができ、場所など求めることはないはずなのだが。

 さらに自らの生きがいが何かを追求する。幽霊はすでに死んでいるし、生きがいを求めるなんてありえない。その生きがい探しに主人公一太郎が応援する。

 このユーモアがたまらない。幽霊、妖がふんだんに登場するが、リアリティがあり、確かに面白い。

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| 古本読書日記 | 05:42 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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