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堂場瞬一   「グレイ」 (集英社文庫)

 東京の大学にはいり2年生になった波田はアルバイトで生活費を稼いでいた。肉体を使うバイトを中心に行ってきたが、重労働のわりに、バイト料が安く、もっと稼げるバイトはないか探していた。そんな時、アンケート調査で日当10000円(小説は1980年代前半)の割高のバイトの募集案内を見つける。そこでそのバイトに採用され、アンケート調査をする。

 このアンケートの多くは企業から依頼され、企業はその調査結果を参考に新商品を開発する。ここで、波田は目覚ましい活躍をして、調査会社の社長北川から契約社員として雇われる。

 そしてある日、山養商事という会社を向かいのビルから視察。その会社からでてきた顧客に、商事会社ではどんな会話がなされたか、調査する仕事をする。その調査の途中で、波田は」何者かにより、殴打され気を失い縛られ投げ出される。

 ここから物語は、スピード感が増し、次々流転する。

 実は、この調査会社、企業からの依頼調査の他に、老人の一人暮らしや、夫婦だけの人を対象に調査して、その内容を、詐欺商法をしている組織に販売し、大きな金を稼いでいた。

 波田は、傷つけられ、危ない橋をわたりながら、その黒い商法の真相を追求する。そして最後にこの商法の影の親玉、民自党の政調会長梅木まで到達する。

 結構この作品面白いなと思って読んだが、民自党の政調会長が登場したところで、白ける。

いくら民自党の政調会長が黒幕であっても、軽々にそれが暴露されるとは思われない、とにかく、不正の裏には、政界大物がいるというステレオタイプの安直な発想。その不正がどういうからくりで、大物政治家につながったか。そこを丹念に暴かないと白ける。政調会長の登場で急に作品が安っぽくなってしまった。

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| 古本読書日記 | 06:12 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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