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望月諒子   「神の手」(集英社文庫)

  デビュー作。推理小説として、サスペンスとして、最高傑作と森村誠一、大森望が大絶賛している。

小説専門誌の編集長三村のもとへ、来生恭子という名前の女性の小説が、高岡真紀という名前の女性から送り付けられる。しかし調べると来生という作家志望の女性は失踪していて行方不明。それに全く関係ないように思える、男児誘拐事件が起きる。

 これらの事件に、雑誌フリー記者の木部美智子が挑む。

拉致された男児は小説家来生恭子によって殺される。殺した後の処理が彼女の小説に描かれる。

「死が始まっている。
 彼女がわたしを解体し始めている。
 わたしは刻一刻と人であった記憶を失っていくのだろう。そして生への執着を。
 彼らがそれを見ている。
 両側の多くの目がそれをじっと見届けている。」

最近は世の中がいやになり、無差別殺人を起こす人間が時々でてくる。彼らの動機は、自分は死にたい。たくさんの人を殺せば、国によって殺してもらえるからと言う。

同じ小説に描かれる。
「わたしは今、あらゆる思いから引き離されて、疼く本能を抱えた骨一本となって、ここに 破滅する。」
死ぬことを切望する。その過程に満足と陶酔がある。

それをぞっとする表現で描く。サスペンス、ミステリーというより完全にホラー作品だ。

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| 古本読書日記 | 06:05 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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