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加納朋子   「我ら荒野の七重奏」(集英社文庫)

 息子が中学生になって吹奏楽部にはいる。もう中学生になったのだから、それほど手はかからないと思っていた主人公の山田陽子。ところが吹奏楽部にはとてつもなく大変な「吹奏楽部親の会」があった。3年間の親の会での陽子の活躍、奮闘ぶりをユーモアたっぷりに描いた作品。

 冒頭からびっくりすることが描かれる。

吹奏楽部の晴れの舞台は年度末3月に開催される定期演奏会。当然学校でパイプ椅子を並べてなんてみすぼらしい場所での開催というわけにはいかない。場所は例年市民ホール。

 しかし年度末は、どの学校も色んな部の発表会、演奏会を市民ホールで行うため集中する。
市民ホールの予約は先着順。年度末の受付は8月から始まる。
 そのため、予約受付開始日の2日前からホール入口に並ぶ。これを親の会が担当する。もし予約がとれなかったということになれば、大騒ぎとなるからである。

 6月に親の会から通達があり、それに従い、都合がつく時間を申請して、それに基づいて親の会幹部が調整して各自の並ぶ当番の時間が決められる。並ぶのは3時間交代。
 ビニールシート、懐中電灯、パイプ椅子、寝袋、蚊取り線香などを用意して、夜中は並ぶ。

しかも4人単位。何も並ぶだけのために4人も必要ないのではと幹部に文句を言う。
すると幹部が答える。

「直前に都合が悪いと出られない方がいるので、どうしても余裕がいるんです。それに市民ホールは閉まっているのでトイレが使えません。それで公園のトイレを使うことになります。このトイレまで15分真っ暗のなかを歩きます。痴漢がでたり、暴漢に襲われる危険もあります。だから規定では5人となっていますが、今回は4人となります。」

 おまけに陽子の当番の時間に猛烈な雨が降ってくる。雨除けなど持ってきてないし、できる場所もない。場所を離れてしまうと、他の人達に取られてしまう。
 仕方ないからシートの下にもぐりこんで雨をよける。

ここから陽子のトホホぶりや、見違えるほどの奮闘が開始する。

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| 古本読書日記 | 06:08 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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