竹林七草 「お迎えに上がりました国土交通省国土政策局幽冥推進課5」(集英社文庫)
国土を不法占拠する地縛霊を立ち退かせるための幽冥推進課の職員夕霞、課長はいるが、実質業務を遂行する人間は夕霞だけで、後は怪異のみ、その夕霞が活躍する、連作短編集。
最初に収録されている「いつまでも心配しなくていいんだよ」がよくできている。
東日本大震災からの国土交通省の復興拠点の一つ、気仙沼事務所。そこの倉庫で怪異現象が起きているとの一報がはいり、夕霞と猫のオバケ百々鬼が向かう。
事務所では、こんなに忙しい時に何しに来たと一応小野寺課長が面倒をみることで担当にあてがわれたが、小野寺課長を含め完全に邪魔者扱い。仕方なく怪異現象が起きるという倉庫にゆく。
そこには線の切れた電話機がある。そして毎日地震が起きた14時46分に電話が鳴る。その電話を取ると、「幸司ちゃんと休んでる?津波が来るよ。お父さんとお母さんが助けに行くから待っててよ」と菅原幸司君に声かける母親の電話だ。その電話は津波が来る15時50分に「にげてえ!」との母親の叫びで終わる。
実は幸司君は地震の日の朝熱があり学校を休む。しかし午後には熱が下がり学校へ遊びに行く。そこで地震にあうが、先生の誘導で校舎の屋上に避難し津波の被害から逃れる。
両親は何回も幸司は家にいると思って電話するがつながらない。そこで、心配になって避難していた高台から、家に向かう。その途中で、津波に遭遇し、流され亡くなる。
両親が、異界から電話してくるのは、息子の幸司の生死はどうだったのか、母親の懸命の「逃げて!」の叫びは通じたのかを知りたいから。
夕霞は、幸司君が預けられていた祖父母の家から幸司君を見つけ出し、倉庫に連れてくる。
幸司君には生気が全く無かった。自分が母親から言われた通り家にいれば両親は死ななかった。両親が死んだのは自分の所為と悩み自殺未遂を繰り返していた。
両親と電話をした幸司君。自分も死んで、両親の元に行きたいと訴える。
しかし両親は叱る。
「今こちらにきても勘当する。ちゃんとしっかり生きて結婚して嫁さんと孫を見せに墓まできてくれ。」
この両親の言葉に幸司君は立ち直る。
ありきたりの作品だが、作者の真っすぐな気持ちが伝わってくる。
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最初に収録されている「いつまでも心配しなくていいんだよ」がよくできている。
東日本大震災からの国土交通省の復興拠点の一つ、気仙沼事務所。そこの倉庫で怪異現象が起きているとの一報がはいり、夕霞と猫のオバケ百々鬼が向かう。
事務所では、こんなに忙しい時に何しに来たと一応小野寺課長が面倒をみることで担当にあてがわれたが、小野寺課長を含め完全に邪魔者扱い。仕方なく怪異現象が起きるという倉庫にゆく。
そこには線の切れた電話機がある。そして毎日地震が起きた14時46分に電話が鳴る。その電話を取ると、「幸司ちゃんと休んでる?津波が来るよ。お父さんとお母さんが助けに行くから待っててよ」と菅原幸司君に声かける母親の電話だ。その電話は津波が来る15時50分に「にげてえ!」との母親の叫びで終わる。
実は幸司君は地震の日の朝熱があり学校を休む。しかし午後には熱が下がり学校へ遊びに行く。そこで地震にあうが、先生の誘導で校舎の屋上に避難し津波の被害から逃れる。
両親は何回も幸司は家にいると思って電話するがつながらない。そこで、心配になって避難していた高台から、家に向かう。その途中で、津波に遭遇し、流され亡くなる。
両親が、異界から電話してくるのは、息子の幸司の生死はどうだったのか、母親の懸命の「逃げて!」の叫びは通じたのかを知りたいから。
夕霞は、幸司君が預けられていた祖父母の家から幸司君を見つけ出し、倉庫に連れてくる。
幸司君には生気が全く無かった。自分が母親から言われた通り家にいれば両親は死ななかった。両親が死んだのは自分の所為と悩み自殺未遂を繰り返していた。
両親と電話をした幸司君。自分も死んで、両親の元に行きたいと訴える。
しかし両親は叱る。
「今こちらにきても勘当する。ちゃんとしっかり生きて結婚して嫁さんと孫を見せに墓まできてくれ。」
この両親の言葉に幸司君は立ち直る。
ありきたりの作品だが、作者の真っすぐな気持ちが伝わってくる。
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