重松清 「ハレルヤ!」(新潮文庫)
ここずっと重松作品は読んでいなかった。重松の初期の作品はユニークで面白かったが途中から、とにかく登場人物が安易に泣く作品ばかりになって、泣くことをもっと他の言葉で表現できないのかと怒りまくる自分がいることを認識して、重松から遠ざかった。
少しは変わったかなと思い本作品を手に取ってみた。
この作品は重松の青春時代を反映している作品だった。物語の調子は以前の作品に似通っているが泣く場面は何とたった一か所だけだった。
大学時代、大学祭にまだデビューしたてのロックグループRCサクセションを呼んだ。
こんなことを言うと、非難ごうごうとなるだろうが、全くその良さがわからなかった。
RCサクセションはロックの殿堂にその後なり、忌野清志郎が亡くなったときには4万人の葬儀参列者が集まり大きな話題となった。
しかしRCサクセションは不思議なグループで大ヒット作品も無ければ、ヒットチャートをにぎわしたことも殆ど無い。どうしてこんなにファンがいたのか不思議でしょうがなかった。
物語は大学時代、忌野清志郎を神と仰ぐ、5人の大学生が金管楽器をメインにバンドを組み、ライブハウスや学祭で演奏していたが、音楽の才能が際立っていたわけではないので、卒業後解散、そこでバラバラな人生を送る。それから23年後清志郎の死をきっかけに集まり、今の自分たちの状況、バンド時代の思い出、歩んできた道を語り合う内容。
バンド時代は喧嘩もあったが、青春が輝き、未来も輝いていることを信じて疑わなかった。
しかし、人生の折り返し46歳の状況は、厳しい辛酸を舐める時代になった。
全員は紹介しないが、ハクブンは財閥系の一流会社に就職。安泰と思っていたら、所属の部門が切り離され、別の会社と合併。そのとき課長だったがみるべき成果が無いといわれ、左遷を覚悟したのだが、今はどこも左遷ではすまない。簡単にクビ。今はアルバイトと夜間交通整理人でしのぐ生活。妻には愛想をつかされ離婚。
キョウコは、子どもに恵まれなかったが、この年齢になって妊娠。しかも双子を出産。夫は会社に海外転勤を申し出て今はインドネシアに赴任。キョウコは夫は逃げたなと思う。
そして帰国しても自分の元には帰ってこないだろうと思っている。
23年後、現実は厳しく重い。しかし、重松の物語だから、最後は未来に向かって頑張ろうというトーンで終わる。確かに人生40代半ばが一番苦しいし頑張りどころ。そんな人たちの応援歌になっているが、それでも、この5人の将来は厳しい。
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少しは変わったかなと思い本作品を手に取ってみた。
この作品は重松の青春時代を反映している作品だった。物語の調子は以前の作品に似通っているが泣く場面は何とたった一か所だけだった。
大学時代、大学祭にまだデビューしたてのロックグループRCサクセションを呼んだ。
こんなことを言うと、非難ごうごうとなるだろうが、全くその良さがわからなかった。
RCサクセションはロックの殿堂にその後なり、忌野清志郎が亡くなったときには4万人の葬儀参列者が集まり大きな話題となった。
しかしRCサクセションは不思議なグループで大ヒット作品も無ければ、ヒットチャートをにぎわしたことも殆ど無い。どうしてこんなにファンがいたのか不思議でしょうがなかった。
物語は大学時代、忌野清志郎を神と仰ぐ、5人の大学生が金管楽器をメインにバンドを組み、ライブハウスや学祭で演奏していたが、音楽の才能が際立っていたわけではないので、卒業後解散、そこでバラバラな人生を送る。それから23年後清志郎の死をきっかけに集まり、今の自分たちの状況、バンド時代の思い出、歩んできた道を語り合う内容。
バンド時代は喧嘩もあったが、青春が輝き、未来も輝いていることを信じて疑わなかった。
しかし、人生の折り返し46歳の状況は、厳しい辛酸を舐める時代になった。
全員は紹介しないが、ハクブンは財閥系の一流会社に就職。安泰と思っていたら、所属の部門が切り離され、別の会社と合併。そのとき課長だったがみるべき成果が無いといわれ、左遷を覚悟したのだが、今はどこも左遷ではすまない。簡単にクビ。今はアルバイトと夜間交通整理人でしのぐ生活。妻には愛想をつかされ離婚。
キョウコは、子どもに恵まれなかったが、この年齢になって妊娠。しかも双子を出産。夫は会社に海外転勤を申し出て今はインドネシアに赴任。キョウコは夫は逃げたなと思う。
そして帰国しても自分の元には帰ってこないだろうと思っている。
23年後、現実は厳しく重い。しかし、重松の物語だから、最後は未来に向かって頑張ろうというトーンで終わる。確かに人生40代半ばが一番苦しいし頑張りどころ。そんな人たちの応援歌になっているが、それでも、この5人の将来は厳しい。
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