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福田和代    「東京ダンジョン」(PHP文芸文庫)

 ダンジョンというのは地下牢という意味。この物語では地下迷路というところ。

鬼童征夫は東大からハーバードに進んだ新進気鋭の経済評論家。セミナーを毎週開催し過激な主張で若者の一部の心をつかむ。ただし鬼童の言葉使い、情熱的発言スタイルには引き込まれるが、内容は真っ当で、常識的考えの域はでない。

 この鬼童の理論に感銘を受けた若者7名が、東京の地下鉄を中心に、地下街、下水道など地下に爆破物を仕掛けたとネットで宣言。

 この7人の潜伏場所をつきとめ逮捕し、爆破物のある場所をはかせる。これが実際の爆破に間に合うか、手に汗にぎる展開を期待したが、後半内容が大きく変化。

 犯人のリーダー大学3年の朝宮がネット動画で訴える。

「私は今大学3年生で就職活動をせねばなりません。大学3年を終えても4割の学生は就職先がみつかりません。最終的には2割は就職できないと思われます。こんなことを言っても被害妄想じゃないかと思われるかもしれません。たとえば戦争中に十代、二十代を過ごした世代のことを考えると、恥ずかしくてとても言えません。少なくても、自分自身は恵まれた環境にあったという自覚もあります。今夜食べるものに困った記憶もなく、学校だって大学まで行かせてもらっています。恵まれているじゃないかと叱られるのを覚悟の上で、あえて言いたいのです。僕らが生まれてきた時代は、物質的にはとても豊かで恵まれているかもしれませんが、なにかが間違っている。とても苦しいし、こんなに平和で安全な暮らしをしているというのに、それが続くという確信がない。明日になれば崖っぷちから転がりおちているのではないかという不安にいつも苛まれている。」

 え?これが、爆弾を地下に仕掛け、地下鉄を全面的に止め、膨大な乗客に迷惑をかけることを引き換えにする主張、宣言なの?いくら頓珍漢の学生でも、こんなことはしないだろう。

地下爆破と、その動機に落差がありすぎる。
 こんな物語はありえない。

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| 古本読書日記 | 06:29 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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