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新津きよみ    「夫以外」(実業之日本社文庫)

 大人の女性たちがくりひろげる日常が舞台となる6編の作品集。

 自分の世代にはいないと思うが、自分より少し前の世代にはこういう男性はいただろうなと思わせるのが「元凶」という作品。

  主人公の西村訓子は現在58歳。もう夫と限界かなと感じている。夫は無口、普通の会話を結婚以来したことが無い。

 夫は、定年で会社を退職した。その後、次の仕事は見つけず、家にずっといる。

 訓子は
「これからずっと家にいるのだから、食べた食器の片付けと洗いくらいはしてください。」
と言うが、何の答えもなく夫はむすっとしている。夫は気に入らないことを言われると途端に何も言わなくなり、機嫌が悪くなる。

 食器を洗っていると、夫が何か言った。水の流れる音で夫の声がよく聞こえない。それで、「何?」と聞き返す。すると夫は「大事なことは一度しか言わない」と言ってムスっとして黙り込む。

 しゅうまいを作ったとき、練りからしがないことに気付く。そこで、また夫の機嫌が悪くなった。翌朝「練りからしくらいで、不機嫌にならないでください。」と言うと
「在庫管理ができないおまえが悪い」と言う。

 夫は会社の倉庫で商品管理をしている裏方だから。
それから、使ったハサミは元にもどしておけとか、洗ったタオルのたたみ方が雑だと怒る。
そのうちに、何か不満に思うと、紙に書いて張り出す。シェービングクリーム残りわずかとか。

 「あなたは毎日家にいるだけだから、気が付いたらあなたが買ってきたらいいでしょう。
こんなことを言うと、それは私の仕事ではないという態度をしてまた不機嫌になる。

 で、どうなるかと思ったら、訓子が自転車で転び打ちどころが悪く倒れ入院。退院しても
身体が動かないから、娘夫婦が引き取る。夫だけが家に残される。

 すると、夫は料理雑誌などを買い込んで、自分で料理をしたり、家事をするようになる。
なんだ。随分都合のいい終わり方。でも、現実はこうはならないだろうなと思う。

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| 古本読書日記 | 06:26 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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