五木寛之 「ゆるやかな生き方」(実業之日本社文庫)
近年雑誌などに発表したエッセイ36編を収録。
五木寛之は大学生の頃、大流行した作家だった。当時は学生運動の余韻があり、左翼系作家や理論誌を読まないと、はぶせにされる雰囲気があった。五木寛之などを読んでいると「日和見主義」とののしられ、先輩に叱られた。しかし、どの作品も熱があり、面白かったからこそこそ読んだことを思い出す。
最近は、人生の大家のような雰囲気がでてきて、ちょっと近寄りがたく、五木とは疎遠になってしまっていた。それでも、大家から人生のありかた、生き方でも学ぼうかと思い手にとった。
やはり少し説教臭い部分はぬぐえないが、それでも若い頃の五木の雰囲気もでていて面白かった。
五木は、最近人の名前がでてこなくて困ると言う。窮すると、五十音順に「あ」から初めて、名前を思い出そうとするらしい。これが伊藤博文だと「い」だから、すぐ思い出す作業は終わるが、メーテルリンクになると「メ」まで到達するまでにえらい時間がかかる。
実は同じ年寄りなのだろう。私もしばしば五木と同じ方法で人の名前を思い出そうつる。
五木はりっぱだ。この方法で、人の名前を思い出すから。
私はしょっちゅう50音を終わり、2週目、3週目にかかってしまう。
週一回だけ、夕食を作らされる。最近は面倒だからおかずにスパゲッティを作ってだす。
すると家族に馬鹿にされる。スパゲッティは主食。おかずにするなんておかしい。
しかし五木がこの本で書いているが、昔は洋食屋にはスパゲッティライスがあったと。
その通りだよ。うれしくなった。
ブータンは母系社会。男が妻の家に嫁いでくる。妻は何人もの男を家に抱える。それでも問題は起きないという。複数の夫が同じ家に仲良く同居する。だから生まれた子供は誰が父親かわからない。子供はみんなで育てるものということになっている。
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| 古本読書日記 | 05:59 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑