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七尾与史    「死亡フラグが立つ前に」(宝島社文庫)

 「死亡フラグ」シリーズ第3弾。第2弾まで読んできて、ちょっと第3弾は色合いが違うなと感じた。

 それまでのシリーズは死神からトランプ ジョーカーが送られてきた人は、受け取ってから24時間以内に殺されるという設定、これに対し、貧乏雑誌記者の陣内と投資家の本宮が立ち向かう。死神というのは、魔界とか異次元に存在する人ではなく、現実に存在する人間で、この人間を陣内、本宮が追いかけ、見つけるという体裁。したがって、異界の人間が登場することはない。

 しかし、この作品では死神は異界の人間で幽霊となって、殺人対象者の前に現れる。殺人対象者にはその姿が見えるが、他の人には見えないという設定になっている。設定はありふれているかなというのが最初の感想。

 それから以前のシリーズでは陣内はひらめきもない冴えない記者で登場。それを頭脳明晰の本宮が真相追及の道筋をつけていく体裁だったが、この作品では陣内が本宮のようになり、死神の殺しの対象になっている人、冬馬を助ける、頭脳明晰恰好良い記者となり登場する。

 冬馬が一人娘カスミと街を歩いていると、夏なのに赤いコートを着て、顔をフードで隠した女が現れ、手には包丁を持って突き刺そうとしているところにでくわす。この女性の姿は冬馬にしか見えない。当然女性は幽霊だから、包丁も実物にはならない。女性に殺された人は、現実では絞殺死体となる。

 冬馬とカスミがどこへ懸命に逃げても、死神の女が包丁を持ってヌっと現れる。
この逃亡場面が手に汗にぎる。ここが作品の読ませどころ。文章はゲームを興奮してプレイしている感覚。

 やがて陣内の調査で、この女は誰で、なぜ冬馬が殺人のターゲットにされたかがわかり、それによりこの女に対する対応方法を掴み、女から逃げ切る。

 ゲームを文章にするとこうなるのかと思わせる作品だった。

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| 古本読書日記 | 06:15 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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