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藤崎翔   「神様の裏の顔」(角川文庫)

 横溝正史ミステリー大賞受賞作品。物語の構成がユニーク。

68歳で坪井誠造が急逝する。誠造は、最後は校長先生をつとめ、退職後も子供支援のNPO活動をして、清廉潔白、高潔な人間性で、多くの生徒、学校関係者、OBまた地域住民から「神様」と慕われていた。それで、通夜にも200人以上が参列し、しかも殆どの人が涙で悲しみを表していた。

 通夜の後、普通親族だけで簡単な宴、通夜ぶるまいを催すが、明日の告別式には来られない人もいるだろうということで、喪主の長女晴美が配慮して、通夜ぶるまいを参列者に解放した。

 そこに、誠造が経営していたアパートの住人や、教師、実の娘、隣人などが一つのテーブルに集まり誠造を偲ぶ話がはじまる。そのうちに、ある参加者が覚悟を決めて、あるとき

起こった殺人事件は誠造が実行したのではと状況証拠をそえて告白する。すると堰を切ったように他の参加者も状況証拠を添え、色んな事件は誠造が実行したのではと言い出す。

 殺人は、自殺や事故として処理されていた。神様の裏の恐ろしい顔が暴かれてゆく。

ところが、ある参加者が千葉の海岸での小学生水死事件は誠造が実行することはできないと明確な理由をあげ反証すると、参加者この事件も、あの事件も誠造は実行できない反証を競って発言しだす。結局誠造が実行した事件はなかったことになる。

 これを読むと、人間の記憶や思い込みは、会話の流れにより、ころころ変わる、結構いい加減なものだと感じる。この話の筋だては斬新で面白い。

 それで、事件の真相はどうなるのか。最近はやりの「解離性同一性障害」が起こした事件となる。「解離性同一性障害」というのは、色んな犯罪に適用しやすく、使いやすい病だ。

 真相はちょっと安直だが、事件の犯人が決めつけられてゆく部分とそれがひっくりかえされてゆく過程が対称的に語られてゆく手法は見事で面白い。

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| 古本読書日記 | 06:08 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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