fc2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

宮部みゆき    「昨日がなければ明日もない」(文春文庫)

 名作「名もなき毒」で始まる私立探偵杉村が活躍する杉村シリーズの最新作。

表題作を含めて3作の中編が収録されている。表題作も面白かったが2編目の「華燭」が素晴らしい。

 東京ベイエリアに建つ、33階建て東京ベイ・グローリアスタワーではその日2組の結婚式披露宴が行われることになっていた。

 一組は、式前に、新郎の元カノがやってきて、新郎が新婦を無視して、元カノとともに式場から消えてしまう。それで、式披露宴が中止となる。

 もう一組は、式直前に新婦が行方不明になる。この式、披露宴に出席するため、主人公杉村、竹中夫人とその娘が休憩していた部屋に新婦が逃げてきて、「結婚はしたくない」と訴える。

 新婦は21歳なのだが新郎は61歳。新婦の父親は事業に失敗して膨大な借金を抱え倒産寸前。そのとき61歳の大富豪のじいさんが現れ、新婦が結婚してくれたら、負債は全部自分が負担する。これを聞いた父親が、少し我慢してくれたら、相手は死ぬ。それからでも娘は十分大金をもって自分の好きな人生を送れるのだから家族を助けると思って結婚してくれと言う。

 この説得に折れ、新婦は結婚を承諾するが、いざ式を迎えるととても結婚はできないと涙ながらに訴える。
 これで、その日行われる結婚式、披露宴はキャンセルされる。

これは、小説だから創造できる物語。結婚式、披露宴が2件とも直前で中止になることなんてことはあり得ないと読者は思う。

 その疑問に、宮部みゆきが見事に答える。少し新しい出来事も加わるが、このつぶれた2つの式、披露宴が実はつながっていて、予め謀られて潰されたことを見事に暴き出す。

 この宮部の手際が見事。これぞ超一流のミステリー作家だなあと感心しきり。

ランキングに参加しています。
ぽちっと応援していただければ幸いです。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ<


| 古本読書日記 | 06:24 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT