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米澤穂信    「ふたりの距離の概算」(角川文庫)

 主人公折木奉太郎が所属する神山高校古典部を舞台にした、角川学園小説大賞において奨励賞を受賞した「氷菓」で始まった古典部シリーズの5作目。

 この作品、物語の仕立てがユニーク。かなり変わっている。

幽霊部とまではいかないが、神山高校古典部は殆ど活動はせず、遊び部のひとつ。新入生勧誘祭でも、勧誘用の机は用意しているが、全く勧誘はしない。こんな不熱心な部に大日向友子が入部したいと申し出る。

 ところが友子が、入部届けを提出期限直前に、入部はやめると突然言ってくる。

神山高校では5月に全校生徒によるマラソン大会がある。全員一斉に走ると、道路が一杯になり、交通の邪魔になるため、男女別、更に高学年からクラス単位に時間差をとって、出発して走る。

 主人公の奉太郎は3年生。出発時刻は早い。奉太郎は友子が一旦入部を申請したのに、最終的に入部を辞退したのか、その真相を走りながら新入生勧誘会から今までの起きた出来事を思い出し、推理しながら走る。そして、時に、同じ古典部でマラソンの警備を担当している部員や、真相追及に必要だと思われる部員や友子を途中で待って、彼らを、脇の森やベンチに誘い、尋問をする。そして真相を突き止める。

 マラソンをしながら真相を追求するという全く突飛な物語だ。

 この物語で面白いと思ったのは2点。

人が大きな嘘をついたり、自信がないことを喋ったりするとき、「友達から聞いたのだが」とか「知り合いが言っていたのだが」とばれたときに自分に累が及ばないようにしゃべることがしばしばあること。まるで菅首相がコロナ対策を専門家に図ってからというのに似ている。

 それから過去に大きなまずいことをしてしまった時、まわりが何かしゃべると、この人は自分の秘密を知っているのではないかと、神経過敏で解釈、行動しようとすること。

 この物語、起こっていることは、事件というようなものはでてこないが、人間の心理の深層をついた興味深い内容になっている。

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| 古本読書日記 | 06:26 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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