fc2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

赤坂真理    「東京プリズン」(河出文庫)

16歳の高校生のマリが、高校になじめずアメリカ東海岸の田舎町の学校に転校する。しかし文化や考え方の違いで落ちこぼれる。そして大変なことに第2次大戦を引き起こしたとされる戦争に天皇は戦争犯罪の責任はあるかというディベートに参加することになった。

 現実の東京裁判では天皇の戦争犯罪責任は問われないことになっている。

 これは、巷間言われているのは、もし天皇に戦争犯罪責任がありとなり、処罰されると、日本は収拾がつかない大混乱になるため、GHQの司令官マッカーサーが天皇には責任が無いと判断したため、犯罪責任は問われないことになったと言われている。

 アメリカの学生のディベートは不思議で自分の考えには関係なく、審判をする教師が責任が無いと主張させる学生と、責任があると主張させる学生を指名してディベートを行わせる。そしてマリは「戦争犯罪責任がある。」というグループに入らされる。

 そこで天皇に戦争犯罪責任は無いという立場のクリストファーの主張が興味深い。

天皇はその生い立ちは神話になるが、それが真実の歴史になって以来、戦争に巻き込まれたことは無い。常に争ったのは、古くは貴族、そしてその後は武士。天皇はそこから離れて、贅沢な生活が保証され、天皇の目的は、ひたすら恋をすることになる。恋をするということはSEXにいそしみ後継者を作ることである。このことは、武士社会が終了して明治になっても引き継がれた。

 第二次大戦においても、天皇みずから戦地にゆくこともなかったし、戦争を国民に強制したり鼓舞することも無かった。天皇は戦争において完全に埒外にいて、戦争の実行者は軍部であり、天皇はどの時代でも、戦争に与したことはない(南北朝時代はどうだったのと疑問は残るが)。だから戦争犯罪の責任は負わない。

 これは読んでいてびっくりし納得もした。そしてマリはこのアンソニーのグループにディベートに敗北する。

 この物語、40代半ばを迎えた主人公マリが悩む18歳の留学中のマリ(マリは同一人物で年齢が違う)に電話をかけ、一緒に悩みを解決しようとするなど、突拍子もない大きな仕掛けを随所にいれて、大きな波乱万丈の物語になっている。そのスケールの大きさは一般的日本文学の域をはるかに超えている。

 特に天皇の戦争責任についてはお腹にズシンときた。。

ランキングに参加しています。
ぽちっと応援していただければ幸いです。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ<

| 古本読書日記 | 06:14 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT