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小杉健治     「邂逅」(集英社文庫)

 小杉のミステリー作品はいつも素晴らしい。突拍子もないトリックや作者が意識して、読者を故意に惑わす叙述トリックもない。すべてがこれならあり得るというトリックで読者をうならせる。

 この作品、アパートで一人住いの女性が花瓶で殴られ殺される。犯人になる手がかりはみつからない。捜査が暗礁にのりかけていたときに、目撃者が現れる。そして、水道工事業者が犯人として逮捕される。

 世の中には似た人がいる。この目撃者は、水道業者が犯人として逮捕後、それは見間違いで偶然、本当の犯人と遭遇する。

 誤認逮捕された犯人の家族は犯罪家族として社会から裁かれる。冤罪で捕まった水道業者は刑務所で自殺する。水道業者の姉は結婚が決まっていたが、先方から結婚を断られる。姉はそのショックに耐えられず、自殺をはかる。自殺は未遂に終わったが、寝たきりになる。
 弟は、養子にだされ、名前を変える。

目撃者は、無残な家族に自分の偽証でおとしめられたことに苛まれ、それが収まるどころか、ますます大きくなってゆく。
 落とし前をつけねばならない。どうやって落とし前をつけるか。犯人に殺人をしてもらう。
そして、殺されたふうに装って、偽証の目撃者は自殺する。

 殺人を確固たるものにするために、本当の犯人に、殺されたようにみせかけたところを水道業者の弟に写真を撮ってもらう。

 偽証が、普通の家族を破壊する。警察は、うその犯人でも、犯人として逮捕すれば、捜査は終了。それゆえ、偽証者は、何としても、本当の犯人に、人殺しをしてもらうことを計画実行。それを確認して、安心して自殺。どこか、悲しく、切ない。

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