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レイモンド・カーヴァー   「CARVER’S DOZEN」(中公文庫)

 村上春樹が敬愛するアメリカの作家レイモンド・カーヴァーの短編、エッセイ、詩12編を「村上春樹ベストセレクション」として、村上自らの訳によって収録した作品集。

 文体、表現が村上の作品に似ていて、どれも面白い作品ばかりだったが、「大聖堂」がその中でも面白かった。

 主人公パブの家に妻の友達であるロバートが西海岸の街から、飛行機、電車を乗り継いでやってくる。ロバートは盲人だった。妻が西海岸の街で就職活動をしていたのだが、就職口が見つからなくて、新聞で盲人に対し、本を代読したり、生活を支援したりするスタッフ募集があり、それに応募して採用され活動していたときに支援し友達なったのが盲目のロバート。

 ロバートは眼が見えないから、パブはうまく会話ができない。もっぱら妻が相手をする。しかし、酒がだいぶ入りすぎて、妻は休憩と言って寝室に行ってしまう。居間にはパブと目の見えないロバートだけ。気詰まりな雰囲気。

 テレビでその時、有名な大聖堂の紹介をしていた。ロバートが聞く。
「大聖堂は存在は知っているけど、どんな建物なの。」
「ものすごく大きく高い建物なんだ。人々が少しでも神に近付きたくて、高い建物にしたんだ。」

 こんな説明をしても、ロバートには全くわからない。
するとロバートが言う。
 「ねえ、2人で一緒に大聖堂を描いてみようよ。」
 びっくりしたが、パブはペンと紙を持ってくる。

ロバートが紙の端を手でさわり、紙の大きさを確認する。
そしてパブに「さあ描いてみて。」「僕がパブが描いた後をなぞるから。」
最初は自分の家といっていいくらいの小さな家を描く。そこに屋根をつける。そして、その上に大きな尖塔をつける。

 ロバートがなぞりながら
「いいねえ。その調子だよ。」
 パブはアーチ型の窓を描いたり、大きなドアも描く。大聖堂が一応完成する。

ロバートは大聖堂は人の集まるところ、建物だけでは寂しい。と言いながら何人もの人を描く。

 今いるのは、小さな家の中なのだが、だんだん大聖堂にいるような気分になってくる。
気詰まりの2人が、無我夢中になって大聖堂を描く姿の描写が素晴らしかった。

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| 古本読書日記 | 06:08 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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