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藤沢周平   「龍を見た男」(新潮文庫)

 短編集。「逃走」が面白い。

 主人公の銀助は、2つの顔を持つ。小間物を売りながら町を歩く。その町を歩きながら、盗みのできる家を物色する。盗人である。
こんな人間だから女房もいなくて、独り身だ。

 更に最近は、盗みを働いているのじゃないかと、目をつけられ岡っ引きの権三にずっと尾行されている

 ある日、銀助が通りを歩いていると、人だかりがしていて、その人だかりの前の家から大声の赤ん坊の声が聞こえてくる。そして、その家の夫婦が大げんかをしている。そして、夫は家を出て行ってしまう。

 その後銀助は、その家が心配になり、2回みにきている。1回目は子供は静かに寝ていて、母親が縫物をしていた。2回目に来た時は、子どもは大声で泣いていた。

 そして母親は夫とは別の男といた。母親は「別れるとわかっている男の子供を産むなんて」と嘆く。男と「こいつを殺すか。どこかへ捨てるか」と言い合っている。

 銀助は本職は盗人、男と女に気付かれないように、赤ん坊を盗み出し、背中に背負って、長屋に連れて帰る。
その途中でつけている岡っ引きの権三に会う。

 権三は赤ん坊をどうしたのだと聞く。「拾ってきたんだ」と銀助が答える。権三はそれ以上は何も言わず、にやっとして立ち去る。
長屋のおとらが、旦那が1週間ほど家を留守にしているということで、赤ん坊を預かってくれる。

 しかし旦那が帰ってくる日になる。乳はあげられるけど、預かることはできない。
仕方なく、赤ん坊を抱いて家をでる。

 盗人の得意技。何と岡っ引きの権三の家に忍び込み、赤ん坊を置き去りにして逃げる。

 権三と女房の声が聞こえる。
 「どうしたの。この赤ん坊」
 「捨てられていたので、拾ってきたんだ。」
女房が声をあげる。
 「わあうれしい。あたし子供が欲しかったんだ。」

 銀助が思わず微笑む。これで安心、もう権三も尾けてはこないだろうと思う。

 銀助と権三の関係が鮮やかに描かれている。

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| 古本読書日記 | 06:05 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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